藤井荘 (山田温泉/長野県)~名物ぽんぽん鍋が名物の美食宿

目の前の緑の風景を眺めつつお茶を飲む癒しのひととき

まず新玉ねぎの薄蒸し、高原野菜の林檎ジュレ掛けはさっぱりと美味しかった

小林一茶や森鴎外などといった文人に愛された老舗旅館というキャッチフレーズを聞いたとき、勝手な印象は、古臭い、黴臭い、昔ながらのアンティーク旅館といったものでした。ところが実際に宿に着いてラウンジに足を踏み入れた瞬間、私は自分の思い込みが間違っていたことを知りました。目の前に広がる一面の緑の風景。ロビー横の茶房として使われている30メートルもの木のカウンターでは、ガラス越しにさえぎるもののない迫るような渓谷の緑が堪能できるのです。昔ながらの温泉宿が数年前にリノベーションされて生まれ変わっていたのです。

お造りは信州サーモン。濃い卵黄に浸けて薬味を巻き付けて、これが絶品!

信州の小布施から約10キロの標高800mほどの渓谷沿いにあります。実は出迎えサービスのミスがあって、小布施駅で待っていても誰も来ないので、連絡すると長野駅と間違ったそう。ところが責任者の方の対応がとても良く、老舗高級旅館らしく、その辺りもしっかりしている宿だと逆に感心したのでした。

ぽんぽん鍋は和風オイルフォンデュ。予想外の趣向にワクワク感が止まらない

この宿で長年続いてきたスペシャリテは「ぽんぽん鍋」と呼ばれる和風オイルフォンデュ。どの料理も味付けも素材もよく独創性を感じたのですが、この料理は特筆ものでした。まず温泉旅館で普通は出ない串揚げ料理を個室で専用鍋を用意してやってくれるのです。その名の通り昔はタヌキの肉を揚げていたそうですが、さすがに今ではタヌキは出ないのでご安心を。今は油のはぜる音がポンポンと聞こえるので、そう呼び続けているとか。新鮮な野菜に海老、ポークなど素材もいいのですが、信州ポークにはチーズを巻いてあったり工夫があり、きめ細かなパン粉を付けているのでより繊細な美味しさを感じました。最後に信州らしくリンゴと干し杏子を串に刺してあるのも出て嬉しくなりました。この宿は専用露天風呂付きの客室がないし大浴場もやや小ぶりなのが残念な点。今の高級旅館の主流ではないので、お部屋に絶景露天風呂を付ければもっと素晴らしくなるのに、などと思ってしまいました。
(2020年6月訪問)

旅館名藤井荘
住所長野県上高井郡高山村山田温泉
TEL026-242-2711
お風呂大浴場、露天風呂
予算1人25000円から
露天風呂付客室あり

 

ペンギン案内人2号/井原 三津子

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