亀の井別荘 (湯布院/大分県)~滞在そのものが旅となる超一流の温泉宿

離れの部屋に付いていた専用露天風呂も趣きがある

大浴場の露天風呂。男女入れ替え制で初日は女性用として2つのお風呂を楽しめた

「旅人をねんごろにせよ」。代々伝わるこの信念を持つという老舗温泉宿があります。大分県湯布院の「御三家」のひとつとして「玉の湯」と「無量塔」と並ぶ、この老舗旅館である「亀の井別荘」です。ここに泊まることだけでひとつの旅が出来上がり、成功に終われる宿です。
金鱗湖畔にあって3万㎡もの広大な敷地には、離れ14室と本館6室の計20室のみ。時々迷いそうになった長い渡り廊下を行くと、一番館、二番館と名の付く客室が点在しています。道中レンガ造りのレトロな談話室があり、ライブラリーや蓄音機による古いレコード鑑賞ができる、タイムスリップしたような空間なのです。敷地の外で外部のお客さんも入れるカフェ「天井桟敷」では昼間グレゴリオ聖歌が流れていますが、夜には「Bar 山猫」にその名を変えてクラシックやジャズを流しています。大正時代、貴族の別荘として建てられたという由緒正しい歴史とレトロなムードを感じさせられる宿なのです。

赤むつの若狭焼きと茄子料理。水ナスとトロナスは揚げてあるのでより美味しい

本館は洋室だけですが、私の泊まった離れは純和風。夜にお布団を敷いてくれる旅館らしいやり方です。でもバスルームはイメージが異なり明るくモダンな設えで、使い勝手よく気持ちがいいのです。内湯の檜風呂と、庭の露天風呂はアルカリ性単純温泉の源泉かけ流しで、肌あたりも柔らかく癒されるお湯です。気の向くままにいつでも湯浴みを楽しめます。
男女入れ替え制の大浴場は、内風呂も天井が高くガラス張りの屋根なので、明るく半露天風。そこから外に出て入る2つの露天風呂がいずれも個性的で、4つの天然温泉の源泉があるため、いろんなお風呂が楽しめるのです。

朝は和食と洋食を選べる。和食には朝から上質の牛肉の冷しゃぶ風も。

お腹がペコペコの時にいきなり揚げ物から始まった夕食は予想外でした。車海老の春巻きとオクラの天ぷらです。豆とアスパラの酢味噌和えやトマトのジュレ掛けも一緒に前菜として出て、最初からググッとここの御料理に魅了されました。甘いイカや新鮮で身が引き締まった鯛の造り、帆立真薯の椀、脂が乗った赤むつ(のどぐろのこと)の若狭焼き、万願寺とナスのべっ甲あんかけ、大分和牛炭火焼きと続きます。すべてが適量で美味しく、長崎出身という若い仲居さんが丁寧にお世話してくれました。まさにかゆいところに手が届くサービス。メニューにはないけれど、今日は近くの蕎麦粉の美味しいのが手に入ったのでと、揚げたてのかき揚げ入りの細いコシのある蕎麦を出してくれました。ご飯の前の締めには最高です。
やっぱり食事が美味しい宿はいいものです。そこにベテランの気配りがプラスされて、まさにお宿のモットーどおり、私もねんごろにさせられた旅人なのでした。
(2020年9月訪問)

旅館名亀の井別荘
住所大分県由布市湯布院町川上2633-1
TEL0977-84-3166
お風呂大浴場 露天風呂
予算2人部屋利用の場合1人40000円~(2食付)
露天風呂付客室なし

 

ペンギン案内人2号/井原 三津子

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