世界で見つける旅の思い出 こだわりの旅をプロデュース

    鮎茶屋 平野屋 (日本料理/嵐山/京都)~奥嵯峨で鮎は夏の風物詩

    鮎茶屋 平野屋
    夕刻の一時、この世のものとは思えないほど綺麗な空とパチリ

    夕刻の一時、この世のものとは思えないほど綺麗な空とパチリ

    趣のある建物、敷地内の川には橋もかかっている

    趣のある建物、敷地内の川には橋もかかっている

    昔から知っている有名な老舗店なのに、そういえば行ったことがない所ってありませんか?。
    京都奥嵯峨、愛宕山の麓にある「鮎茶屋 平野屋」がまさにそうでした。
    山からの水が豊富に湧き、火伏せの神様として崇められる愛宕神社に参拝するお客様をもてなすため、鳥居の中で400年も前から店を構えている老舗中の老舗です。
    話は少しそれますが、我が家の仏壇の仏様は20年以上前ご縁があってこの愛宕神社のご住職、今は亡き西村公朝先生に教わって作った土仏です。このエリアに来たのはそれ以来で、行く前からとても懐かしく、感慨深く感じていました。
    ここ数年、暑い夏の時期や人混みのひどい時期はなんとなく避けてきた京都でしたが、鮎茶屋平野屋のおかげで、また夏に来ることができました。
    外から見ると、平野屋と書かれた暖簾の前に赤い毛氈の敷かれた椅子が置かれています。絵葉書にでもなりそうな昔から馴染みのある茶屋の印象です。でも中に入るとうって変わって老舗旅館のような趣のある造りの建物でした。建物の周りに木を植えるのではなく、自然をなるべく壊さないように個室の離れが建てられています。敷地と外を隔てる塀までも石垣や竹で造られていて、全て自然のもの。また敷地内には、なんと川まで流れていて、水の音が夏を涼やかにしてくれます。

    女将さん自ら提灯の持ち手を作ってくれた「鮎多より」

    女将さん自ら提灯の持ち手を作ってくれた「鮎多より」

    ここに来たら聞いてみたいことがありました。
    白州正子さんが夏にこの平野屋から届く鮎だよりを毎年楽しみにしていたというのを読んだことがあって、長くどんなものなのか気になっていたのです。
    女将さんに伺ってみたら、鮎多(た)よりはリーフレットの様なものではなく、蝋燭を入れて使う提灯の形でした。大昔、夕食を食べた後、暗い夜道を歩くお客さまのために着物の襟元にたたんで入れられる提灯をお渡ししていた名残だそうで、今もご贔屓のお客様へ毎年お送りしているとのこと。今は日本だけでは全てが作れないため、残念ながら1人1人の名前を入れることが出来なくなったそうですが、令和三年と書かれた鮎多よりをいただいて、確かにこれが届いたらとても嬉しいと思いました。

    塩は控えめで鮎の苦味と甘さを感じることができる

    塩は控えめで鮎の苦味と甘さを感じることができる

    夜、鮎づくし15.000円のコースをいただきました。
    最初にお茶と名物の3色(お茶 白 ニッキ)のしんこ餅が出てきました。米粉で作られたひねった形の甘さ控えめのお餅です。黒糖ときな粉がかかっていてとてもよく合います。
    そして、誕生日のお祝いだからと特別に一口お赤飯を出していただきました。
    山菜づくしの前菜の後、若鮎の時に食べられる辛子酢味噌と醤油で食べる鮎の背越し(背越しとは魚の切り方でら背骨ごとぶつ切りにしたお刺身)味がつまっていて、背骨を少し感じる程度の柔らかさ、美味しかったです。空気を含んだように焼かれている鮎の塩焼き、鮎がゆ、八寸には鮎の甘露煮や南蛮漬け、うるか(鮎の内蔵の塩辛)が入っていました。そして鮎の天麩羅まで鮎づくしの料理を特別な空間でいただく記憶に残るひとときでした。鮎は、祇園祭の頃食べる若鮎が有名ですが、ここ平野屋では初秋の子持ち鮎まで楽しむことができます。また、秋には松茸、冬にはぼたん鍋と一年を通して美味しいものを食べられます。
    甘酒の味にも定評があり、春限定の桜餅、冬限定の柚子しぐれもいずれ食べてみたい味です。
    また、鮎茶屋平野屋さんは、久しぶりに素敵な女将さんとお会いできました。楽しい時間と共に最後に記憶に残るのはやはり人でした。いろいろ教えていただいてありがとうございました。
    (2021年7月訪問)

    レストラン名鮎茶屋 平野屋
    ジャンル日本料理
    住所京都市右京区嵯峨鳥居本仙翁町16
    TEL075-861-0359
    予算昼5.000円~ 夜12.000円~(鮎の時期は昼8.000円~ 夜15.000円~)
    座席個室 全8室
    個室あり
    予約の可否

    Follow Us !

    タイトルとURLをコピーしました