ca’enne(カエンネ)(イタリアン/茅野市/長野県)~信州蓼科・八ヶ岳の絶品薪火イタリアン

カエンヌ
キッチンからは薪火がパチパチと燃えている様子が!

キッチンからは薪火がパチパチと燃えている様子が!

前菜盛り合わせ。すべて本格的で美味!

前菜盛り合わせ。すべて本格的で美味!

八ヶ岳の麓、蓼科の別荘地(三井の森)に、薪焼きイタリアンの名店「カエンネ」というレストランがあります。JR茅野駅から車で30分という高原地帯にあるこのお店。私が訪れた7月は深い霧に覆われていて、なんだか幻想的な空気に包まれていました。
お店はオープンキッチンになっていて、席に着くと早速薪焼きのいい香りが漂ってきます。そもそも「薪焼き」はヨーロッパ発祥の伝統調理法。日本では炭火焼きのほうがポピュラーですが、シェフの臼井憲幸氏は修業時代にこの薪焼きに魅入られ、この場所で薪焼きのレストランをオープンさせたのだとか。
今回私がいただいたのは、ディナー全11品10,000円のコース。地元八ヶ岳の食材とイタリアの伝統技術が見事に融合した料理は絶品の一言です。

地元加茂七とうふの冷や汁仕立てのスープと鯵

地元加茂七とうふの冷や汁仕立てのスープと鯵

アミューズは3品で構成。自家製の熟成生ハムと林檎(シナノゴールド)を合わせたものと、越冬ジャガイモの焼きラビオリ。そして低温調理した菅平ダボス牛にツナを挟み、上にサマートリュフを削った3品です。どれもレベルが高く創作性もあるアミューズでしたが、特に注目したいのがこの生ハムです。というのもシェフは本場イタリアで学んだ伝統製法を基に、この地域に合った自然熟成を行っているそうで、地元の銘酒「真澄」の麴も使用するのだとか。そんな特別な方法で作られた自家製の生ハムは非常に味わい深く、林檎との相性が絶妙です。また牛肉にツナを合わせるというのも、シェフが修業していたイタリア・ピエモンテ州ならではのものらしく、そのユニークな組み合わせに驚かされました。
またパスタのクオリティも高く、パスタマシーンは使わずマタレッロという長い麺棒を用いて作るというこだわりまであります。もちっとしつつもしっかりした食感が特徴的で、八ヶ岳の天然茸との相性が素晴らしい。厨房は臼井シェフのみで、ホールを担当する奥さんと二人三脚でまわしているようですが、こんなに凝った料理がいただけるとは…感動です。
たまたまその夜はカウンターに小さな女の子がひとりポツンと座っていました。シェフご夫妻の娘さんです。一生懸命頑張るパパとママの邪魔にならないよう、大人しく待っている姿が健気で、なぜか家族一緒にがんばれと応援したくなりました。

こだわりパスタ。上にはバッカスというチーズをのせて

こだわりパスタ。上にはバッカスというチーズをのせて

そしてカエンネで忘れてはならないのが薪焼きを用いた料理。炭火焼きなら東京でもよく見られますが、薪焼きを採用しているお店は少ないでしょう。「炙る」という行為は一緒なのに何がそんなに違うの?と思われる方もいるかもしれませんが、炭火と薪の最たる違いは「水分の含有量」にあります。薪の炎で包み込むようにじっくり焼くと、薪の中の水分が食材に移ります。そうすると外はクリスピーに、しかし中は水分を失わずにジューシーに仕上がるのだとか。焼き加減はともかく、どういった方法で焼いているかなんて今まで注視したことはありませんでしたが、メインの信州産牛をひと口食べてその違いをはっきり実感。食べた瞬間にほのかに広がる薪の香りも素晴らしいのですが、なによりジューシーさが他とは桁違い。歯を入れた瞬間じゅわっと肉汁が溢れ出し、それでいて脂っこさは一切ありません。なるほど、これはシェフが薪焼きにこだわるのも分かります。私も薪焼きの魅力にハマってしまいそう。

シェフは元々青山のレストランで働いていたそうですが、2017年に「エッセンツァ」のシェフとしてここ蓼科に移住。2020年4月その店を買い取る形で独立し、再スタートを切ったそうです。そして新たなお店をオープンさせた臼井氏がコンセプトとして掲げたのが薪焼き料理。「煙の問題もあるから東京で薪焼きは難しいんです」と語る臼井シェフ。確かにオシャレな街はそういう事にうるさそうです。
八ヶ岳で育った食材の特徴は素材そのものの風味が豊かであること。薪焼きはそんな素材の良さを最大限まで引き出す手段。カエンネの料理はまさに「この土地でしか食べることの出来ない特別な一皿」なのです。(2021年7月訪問)

レストラン名caenne (ca’enne/カエンネ)
ジャンルイタリアン/イタリア料理
住所長野県茅野市豊平字東嶽10222-25
TEL050-5456-9176
予算ランチ¥4,500~  ディナー¥8,000~
座席20席
個室無し
予約の可否完全予約制

 

ペンギン案内人5号/川崎 彩乃

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