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    地方で一番美味しいレストラン・ベスト20 ~北海道から九州まで~

    PESCECO ペシコ (島原市)
    幻のブドウ海老の一皿 HAGIフランス料理店にて

    幻のブドウ海老の一皿 HAGIフランス料理店にて

    海辺にあって新鮮な魚介類がすぐ目の前で獲れるお店。裏山で豊富な山菜を摘んで来られるお店。地元でこだわりの野菜農家や牧場との絆を深めて仕入しているお店。まさに食材の宝庫ともいえる「田舎」が日本にはたくさん存在します。そんな地方の田舎でこそ、都会では不可能な本物のガストロノミー(美食)が実現するのです。お店に華美な装飾や慇懃なサービスは不要です。癒される自然の中で頂く心までほっこり温まる料理の数々に、誰もが魅了されるのです。
    ローカルガストロノミー。地産地消。この言葉を最近聞くことが増えました。地域の風土や歴史、文化などを「料理」に表現することがローカルガストロノミーで、それを成し得るために地元で生産されたものを地元で消費することが地産地消です。その土地の食文化を守り次世代に伝えていこうとの思いで料理を作っている料理人が日本各地で活躍しています。都会や海外の名店で修業を積んだシェフが地元に戻ってお店を開く。そしてその土地の食文化を地方から全国へ発信しているのです。今回はそんな地方レストランの中でもとりわけお薦めのお店を、ファイブペンギンズが実際に食べに行って厳選。話題のお店ベスト20をご紹介します。
    (註:掲載順は北は北海道から南は九州まで、北から南への順で、順不同につき評価の順ではありません。また東京および人口50万人以上の政令指定都市である大阪、京都、横浜、札幌、福岡など20都市以外のレストランからチョイスしています)

    メゾンフジヤ ハコダテ(フレンチ/函館市/北海道)

    3500円のランチコースにこの丁寧なメニューとは!

    3500円のランチコースにこの丁寧なメニューとは!

    まずご紹介するのが函館のフレンチです。函館山の麓にあって、夜景が美しい高台にある一軒家レストラン。2020年6月にオープンされ、1周年を迎えたばかりのレストランです。グランメゾンのように優雅で高級感もあって素敵。
    シェフの藤谷圭介氏は北海道は江差出身、以前札幌でやっていたお店はミシュラン1つ星を取っていて、今回の函館のお店は、新しいミシュランはまだ未発表なのですが、ゴ・エ・ミヨで15.5点と言う高得点。

    プティフールは自家製マカロン。パティスリーでも購入可能

    プティフールは自家製マカロン。パティスリーでも購入可能

    そんなお店でランチを頂いたらきっと高いはず、と思ったら大間違い。7皿+プチフールといったコースがなんと3500円なのです。内容の濃い、とっても満足のいく品々なのに、コスパが半端なくいいお店です。最近パティスリーもオープンされました。それほどスイーツも充実しています。

    オステリア・エノテカ・ダ・サスィーノ(イタリアン/弘前市/青森県)

    雪下人参のソテーに黒トリュフを目の前でザックザク

    雪下人参のソテーに黒トリュフを目の前でザックザク

    青森でイタリアンを探している人に絶対お薦めしたいのがこのお店です。もちろん全国からわざわざ食べに行く価値のあるイタリアンです。
    オーナーシェフの笹森通彰氏は国内やイタリアのミシュラン店などで修業の後、2003年8月にこのお店をオープン。

    青森の健育牛のビステッカ、赤ワインソースとリンゴ

    青森の健育牛のビステッカ、赤ワインソースとリンゴ

    地産地消と謳っているお店は増えましたが、笹森氏は種を植えて育てるところから野菜作りにこだわっておられるかなりのツワモノです。しかも自家製のチーズや生ハム、そしてワインまで作り、ワイナリーも経営。
    全ての料理が美味しいものですが、最高に感動できるのがラビオリです。手間暇かけたラビオリの美味しさを体験しに行ってほしいお店です。

    日本料理 たかむら (日本料理/秋田市/秋田県)

    懐石料理の王道もしっかり押さえて新鮮なお造り

    懐石料理の王道もしっかり押さえて新鮮なお造り

    秋田県で人気ナンバー1の日本料理店。大将の高村宏樹氏は、秋田県出身で東京のお店で研鑽を積んだ後、1999年にこのお店をオープン。今では会員制になり、紹介がないと予約はそう簡単には取れません。

    蕪のお餅にカラスミをかけた1品。食感も味も絶品

    蕪のお餅にカラスミをかけた1品。食感も味も絶品

    懐石料理の王道を行く日本料理をひとひねりした品々と料理のジャンルを超えた中華風やフレンチ風もどんどん取り入れたメニュー構成がビックリと共に、まったく飽きが来ない設定です。しかもどれもが絶品に仕上げられているから、大将の引き出しの多さに誰もが魅了され、何度も通いたくなるお店なのです。大将の気さくな人柄も人気の秘密。

    ジュエーメ (イタリアン/大仙市/秋田県)

    可愛いインテリアの店内はトスカーナに来ているよう

    可愛いインテリアの店内はトスカーナに来ているよう

    「地方でレストランをやる意味は、新鮮な野菜が手に入ることにある」と語るシェフの佐々木氏。ここ「ジュエーメ」では「採れたて」の野菜たちが最高の状態でテーブルに並ぶ…東京ではまず味わえない贅沢が叶います。
    花火で有名な秋田県大曲。いま食べログで4.16点(2021年6月現在)という高評価を得て、予約が取りにくいお店なのです。

    お皿の多くに登場する山菜は裏山で採れるものばかり

    お皿の多くに登場する山菜は裏山で採れるものばかり

    ランチコースは、前菜、パスタ、メイン、デザートの4品構成でお値段はなんと3,000円。なかでも驚かされるのが前菜の盛り合わせで、ひとつひとつ丁寧に作られたものばかりで感動。残ったソースは美味しいパンに付けて食べるようにアドバイスしてくれたり、フードロスとは無縁の食べ物を大切にする姿勢にも好感が持てます。

    HAGI(はぎ) フランス料理店(フレンチ/いわき市/福島県)

    新鮮な蟹をシンプルに味わえる1品

    新鮮な蟹をシンプルに味わえる1品

    いま食通の間で話題になっているいわき市にあるフレンチレストラン「HAGI フランス料理店」。食べログ4.36点(2021年6月現在)という超高評価で、東北地方のフレンチNO.1の名店とも呼べる存在です。

    オープンキッチンの中にお邪魔してシェフと記念撮影

    オープンキッチンの中にお邪魔してシェフと記念撮影

    シェフ萩春朋氏の生み出す料理は、伝統的なフレンチの枠にとどまらない創作性溢れる、記憶に残る逸品ぞろい。福島県産の上質な食材をふんだんに使用する料理です。かつて震災ですべてを失い、特に原発事故の風評被害に苦しんだシェフが、心機一転、新しい形のフレンチレストランをここまで成功させたのは?

    レストラン オオツ (フレンチ/水戸市/茨城県)

    三重のランプ肉のロースト

    三重のランプ肉のロースト

    フランスの名店や国内のフレンチレストランなどで修業するシェフが多い中で、ここ「レストラン オオツ」のシェフ大津高志氏は独学でフレンチをマスターされたのです。それも35歳で脱サラして転身というから驚きしかありません。マダムの恵子さんと二人、ご夫婦二人三脚で今のお店の成功を勝ち取られてきたのです。

    デザートまですべて美味しく完食間違いなし!

    デザートまですべて美味しく完食間違いなし!

    今では食べログの茨城県のグルメランキングで1位の4.29(2021年6月現在)という高得点。お二人で日本中の名店を食べ歩いてこられたのですが、今では日本中のシェフがこのお店に食べに来るまでに・・・!
    奇をてらわないわかりやすいフレンチ、それでも心から美味しいと思える料理の数々は、一度体験してほしい味わいです。

    レストラン ナズ(イタリアン/軽井沢町/長野県)

    北欧をおもわせるスタイリッシュな店内

    北欧をおもわせるスタイリッシュな店内

    軽井沢で今注目のイタリアンレストランが2020年9月にオープンしました。シェフの鈴木夏暉氏はまだ26歳にしてすごい経歴の持ち主なのです。「世界のベスト・レストラン50」で4度も1位に輝いたデンマークのNomaで修業した経験があるのです。このお店がオープン早々ゴ・エ・ミヨに掲載されたというのも驚きです。

    信州の黒豚の火入れも抜群

    信州の黒豚の火入れも抜群

    鈴木氏の料理は繊細な味付けが特徴の、洗練された創作イタリアンです。「発酵」の技術を取り入れた料理は、素材の旨味を倍増させてオリジナルな味を生み出しています。ランチは2組、ディナーは1組のみのゲストに制限し、料理の説明はシェフ自らテーブルに来てくれます。予約が取りにくいですが、頑張って行ってみる価値が大いにあるお店なのは間違いありません。

    茶懐石 温石 (日本料理/焼津市/静岡県)

    カウンターの調理風景がよく見える

    カウンターの調理風景がよく見える

    焼津の名店として食通の人ならだれもが憧れるのがこのお店。温石(おんじゃく)はかつては個室で2組だけのお店だったのが、2019年からお客様と向き合う風情あるカウンター席を設け、炭火焼きの設備を付けてから名声が上がったのです。今では食べログ4.30(2021年6月現在)の超人気店となっています。

    お造りはヒラメとイカスミの塩を振ったアオリイカ

    お造りはヒラメとイカスミの塩を振ったアオリイカ

    大将の杉山乃互(だいご)氏は焼津の老舗「サスエ前田魚店」から鮮魚を仕入れたり、食材にこだわりぬいているのです。調理法が素晴らしいのはもとより、大将が自らカウンターの中でお客さんに料理を仕上げていく過程を見せます。いくら忙しくても、常連でなくともきちんとお客さんとの会話もしてくれるところに好感が持てます。

    インスタレーションテーブル・エンソ・ラシンメトリー・ドゥ・カルム(フレンチ/金沢市/石川県)

    オープンキッチンは活気があっていいムード

    オープンキッチンは活気があっていいムード

    この長い名前のレストランは通称エンソ。金沢にある明治時代の洋裁学校跡を改装したレトロな建物ですが、インテリアは白を基調にした清楚な感じのおしゃれな店内です。最近北陸版ミシュランで見事2つ星を獲得(我々は3月に訪問しそれを予言していました)「ゴ・エ・ミヨ」でも16.0点という高評価を得ているお店です。

    アミューズの演出も美しい

    アミューズの演出も美しい

    シェフの土井誠氏は最初は日本料理の職人だったのが、スイスや北欧、フランスなど様々な国で修業を積み、2016年ここ金沢に自身の店をオープン。そんなシェフの料理はどれもが創作性に溢れたモダンフレンチ。12品の極上ランチコースが7000円という驚きのコスパの良さでした。

    リストランテ ナカモト(イタリアン/木津川市/京都府)

    美しい前菜。思わず携帯の待ち受けにしてしまった1枚

    美しい前菜。思わず携帯の待ち受けにしてしまった1枚

    京都や大阪から1時間以上かかる木津川にあるイタリアンのお店。はるばる食事しに行くという辺鄙な立地です。
    オーナーシェフの仲本章宏氏は、20歳の時からイタリアへ修業に行き、ニューヨークなどでも働いた後、地元木津川のご両親が営んでいた「仲本食堂」を改築して2011年にこのお店をオープン。
    フィレンツェの名店「エノテカ・ピンキオーリ」で苦労の末、4年にも渡りパスタ部門を任されていたほどの腕前です。

    モダンな店内。オープンキッチンになっている

    モダンな店内。オープンキッチンになっている

    忘れられない味はラビオリのようなアニョロッティ。ヤギの自家製チーズやマスカルポーネなど数種の味わいがフォアグラの燻製と一体となって得も言われぬ至福の時間。はるばる行って食べる価値あり。パスタだけではなく、アミューズや30種類もの瑞々しい野菜の美しい盛り付けが感動的な前菜も要体験です。

    アコルドゥ (イノベーティブ/奈良市/奈良県)

    奈良公園の自然も堪能できる抜群の環境

    奈良公園の自然も堪能できる抜群の環境

    このお店はなんと奈良公園の敷地内に建っています。自然豊かでゆったりしたセンスのいい造りで、ランチを食べるのに理想的なセッティング。食べログで4.21点(2021年6月現在)と奈良県2位、またゴ・エ・ミヨでは16.5点と奈良県トップを誇る名店です。世界ベストレストランの1つであるバスク地方のレストラン「ムガリッツ」で研鑽を積んだ川島シェフの生み出す料理は、伝統にとらわれないイノベーティブなスペイン料理。

    地元の生産者にもこだわったヒューマン・テロワール

    地元の生産者にもこだわったヒューマン・テロワール

    思い出の一皿は奈良県の大和ポークと、大和鶏を合わせたテリーヌ。今までで最高のテリーヌ。でもそのお皿の主役は実はテリーヌではなく春キャベツという意外性。特製のトリュフ&胡麻ソースとの相性が抜群で、キャベツもテリーヌに負けない存在感なのです。すべての料理にそうした驚きと感動があったアコルドゥは何度も通いたくなるお店です。

    ヴィラ・アイーダ (野菜料理/岩出市/和歌山県)

    鯵とインゲンとレタスのハーブ添え 新ニンニクソース

    鯵とインゲンとレタスのハーブ添え 新ニンニクソース

    日本最高峰の農園レストランとの呼び名も高い和歌山県のヴィラ・アイーダ。自家菜園を持つレストランのパイオニア的存在です。かつて南イタリアの3つ星レストラン「ドンアルフォンソ1890」などで修業された経験を持つ小林寛司シェフが日本に戻ってから「アグリガストロノミー」を実践されてきたお店で、現在のそのジャンルはイタリアンでもフレンチでもなく「野菜料理」。自家菜園で採れた野菜を使う料理は、野菜をより美味しく食べるために和歌山県の選び抜かれた肉や魚介が組み合わされています。

    有田川で養殖された鮎 赤米 おかひじき

    有田川で養殖された鮎 赤米 おかひじき

    一皿一皿、新鮮で味の濃い、食べるだけで元気になりそうな野菜。どれも食べたことのある食材なのに、野菜の他に花やハーブを使ったソースや食材の取り合わせで食べるまで味の想像がつかないのです。驚きと感動を秘めた料理の数々は食通をも魅了してやみません。

    acca(アッカ) (イタリアン/瀬戸内市/岡山県)

    エントランスに店名のaccaの文字が

    エントランスに店名のaccaの文字が

    予約の取れない人気店だった東京の店を閉じてまで、はるばる縁もゆかりもなかった岡山県の牛窓へ移住してこのお店をオープンされた林冬青シェフ。「日本のエーゲ海」と呼ばれる牛窓で、海を見下ろす絶景のロケーション。ここで手に入る食材が新鮮なことは当たり前のようです。
    イタリアの田舎ではよく使われる薪焼のための暖炉がこのお店の特徴であり要(かなめ)的存在。

    天井が高く開放的な店内

    天井が高く開放的な店内

    暖炉の窯で焼き上げた熱々の料理を冷めないうちにすぐ食べてほしい。それがシェフの思いです。無駄なものはなく、無駄なことは排除する。盛り付けにこだわることもなく、次々に出される料理はどれもが漁師飯のような素朴で力強いものばかり。素材の美味しさを引き出して、一番美味しく食べればいい。直球のイタリアンがここでは思う存分味わえるのです。ありきたりの華美なイタリアンに飽きた人はきっと虜になるはずです。

    リストランテ ミアパエーゼ (イタリアン/浜田市/島根県)

    島根県西部の山に囲まれたど田舎にお店はあります

    島根県西部の山に囲まれたど田舎にお店はあります

    島根県の西部、海と山に囲まれた浜田市の片田舎にあるイタリアン。2018年に古い民家をフルリノベーションして始めたお店は、数組のゲストを受けるお店だったのが、1年前に方向転換。1組だけのプライベートレストランとして再びリノベーションしてからは、たった一人でほぼすべてを行っているそうです。そんな苦労人のオーナーシェフ竹中厚志氏。予約可能な2か月先までいつも満席という人気のお店なのに、あり得ないほど本当に謙虚で優しい人柄なのに驚きます。

    空豆とリコッタチーズのニョッキ。優しい味と食感!

    空豆とリコッタチーズのニョッキ。優しい味と食感!

    地産地消。そして土地の食材を生かしたガストロノミーをここから全国に発信していく、こうした小さな店こそが世の中の流れになっているし、食通の人々に望まれているのです。そういう意味では、スモールレストランを目指したシェフの決断は正解だったのです。ますます今後評価されていくはずです。

    鮨いの(すし/松山市/愛媛県)

    大間の漬けの鮪

    大間の漬けの鮪

    松山市の「鮨いの」は二番町にある隠れ家っぽいムードの高級感漂うお店です。大将の猪野祐介氏は、松山にいながら全国を食べ歩いて研究を重ねてきて、食材は全国から仕入れるという江戸前鮨。素材にひと手間も二手間もかけるとてもレベルが高いお鮨で、ミシュラン1つ星、ゴ・エ・ミヨは16点という高得点です。

    ふろふき大根、白みそベースの柚子味噌添え

    ふろふき大根、白みそベースの柚子味噌添え

    お任せディナーの1万円のコースは、まず5品の料理(おつまみ)が出て、その後寿司12貫、玉子、赤出汁、デザートという構成。全ての料理の流れも配分も申し分ない内容で、熟成させることで深みを増す素材の数々に感動。超一流の職人の技が光ります。東京なら少なくとも倍の値段はするだろう良心的な価格設定も魅力です。また優しさが染みわたる大将の心配りもファンが多い理由でしょう。四国に行くならぜひプランに入れたいお店です。

    メゾン・ラフィット(フレンチ/那珂川市/福岡県)

    アサリとワカメのフラン。これは是非ともまた食べたい

    アサリとワカメのフラン。これは是非ともまた食べたい

    福岡市内から車で走ること40分。那珂川市ののどかな風景の中にある「メゾン・ラフィット」。2008年にオープンしてからというものプライベートも無く働き続け、ストイックに料理の道を究めてきた工藤シェフの料理は何もかもが絶品です。日本のすべてのフレンチで3本指に入る名店であることは事実。現在は食べログ4.27(2021年6月現在)という高評価で、ミシュラン1つ星を獲得しているので、人気が高くて予約も取りにくい状況です。

    物腰柔らかな工藤シェフと記念写真

    物腰柔らかな工藤シェフと記念写真

    近くを流れる那珂川の美味しい地下水を活かし、有明のアサリに玄界灘のクエ、豊後牛などなど、地元九州の食材をふんだんに使用した料理は創作性も抜群。
    特筆すべきがアサリとワカメのフラン。和の風味を感じる茶碗蒸しのようでありながら、やはりフレンチ。味わい深く滑らかで、シェフの裾野の広さを実感できる逸品。チャンスがあったらぜひ食べてみてほしいものです。ホッコリ幸せ気分に浸れますよ。

    オット エ セッテ 大分 (イタリアン/鉄輪温泉/大分県)

    店内にディスプレーされている地元の野菜たち

    店内にディスプレーされている地元の野菜たち

    世界屈指の温泉湧出量を誇る別府の中でも、とりわけ高温の温泉である鉄輪地区。ここでは江戸時代から温泉の地熱を利用した「地獄釜」が料理に使われ、地獄蒸しで食材を蒸し上げる料理法。食材が驚くほど美味しく仕上がるのです。ここオット エ セッテはそんな料理法を駆使したユニークなイタリアン。「ここでしか食べられない」とお店が自負する料理を味わえます。

    「伊勢海老街道」はインパクトのある美しい一品

    「伊勢海老街道」はインパクトのある美しい一品

    古民家風のお洒落なインテリアと、行き届いたサービスの中で頂く料理はハイレベルなもので、地獄釜のイメージとは程遠い繊細な料理の数々です。メニューのタイトルや出し方の演出も面白いのです。
    店の奥には「ゆ」の暖簾がかかっています。別府だけあって、このレストランは温泉宿の中のお店なのです。温泉に浸かって、湯上りにビールとこんなイタリアン。まさに理想のお食事タイムになるはずです。

    pesceco(ペシコ)(イタリアン/島原市/長崎県)

    島原湾のオコゼリゾット雲丹、オコゼの肝 昆布水の泡

    島原湾のオコゼリゾット雲丹、オコゼの肝 昆布水の泡

    長崎・島原の海辺に建つ極上の里浜ガストロノミーのお店「pesceco(ペシコ)」。食べログ4.41(2021年6月現在)の超が付く高得点、イタリアンで九州ナンバー1.ミシュラン2019年度版1ツ星獲得と光り輝くお店で、予約が取りにくい人気店です。若きシェフ井上稔浩(たかひろ)氏の料理はイノベーティブの要素が強い内容で、全11品の「里浜ガストロノミーコース」。大きな特徴はメインとしての肉料理が出ないこと。主役は魚介類。そして主役を引き立てるための脇役はこだわり野菜だったり米だったり生ハムだったりします。

    鮑バターソテーあおさ海苔や鮑の肝と黒ニンニクソース

    鮑バターソテーあおさ海苔や鮑の肝と黒ニンニクソース

    島原で魚屋さんをされていたシェフのお父様と一緒に、当初は居酒屋をしていたシェフ。一念発起して2018年に今あるオーシャンフロントに移転して、見事成功を収めたのです。2組6席限定の小さなお店でもあり、今注目のローカルガストロノミーの代表格と言えるでしょう。

    ヴィッラ デル ニード(イタリアン/雲仙市/長崎県)

    最上級のラビオリに絶句!

    最上級のラビオリに絶句!

    島原半島の雲仙市で2015年オープン。2019年に現在のお洒落なお店にリニューアル。雲仙出身の若きシェフ吉田貴文氏のイタリアンは見事ミシュランの1つ星にも輝き、予約も取りにくい人気店となりました。ランチもディナーもお任せ10品で11000円のコースのみ。

    真鯛と春キャベツと車海老のコロッケ

    真鯛と春キャベツと車海老のコロッケ

    シェフは在来野菜の大切さを重視し、安全で美味しく滋味深い、雑味なく味が際立つ野菜の美味しさを生かして料理を作ります。幼馴染みの竹田龍太氏の「竹田かたつむり農園」で作り出される在来種の農薬も化学肥料も一切使わない安心な野菜を使うこだわりがあります。もちろん地元で獲れたての新鮮な魚介類もふんだんに登場します。
    田舎だから成し得る絶品料理の数々だから、皆がわざわざ遠いところから出向いて食べに行く価値があるのです。

    きたうら善漁。(ぜんりょうまる) (日本料理/延岡市/宮崎県)

    恐る恐る頼んでみたら大将の写真撮影OKだった!

    恐る恐る頼んでみたら大将の写真撮影OKだった!

    このお店に行った後はどんなお店も平凡に見えてしまいます。それほどインパクト大のお店が宮崎県延岡市にあるのです。
    「ただの料理屋だから美味しいものは作りません。驚きや面白さ、ここでしか味わえない特別な素材もいりません・・」などなど、説明書きに皆最初はギョッとするはずです。料理の写真撮影は不可。料理の説明は食材ひと言のみ。ユニーク!!

    こんなご挨拶文が置かれている

    こんなご挨拶文が置かれている

    こだわりの強い偏屈な方かと思ったら、店主の吉田善兵衛氏、実は優しくてお客様思いです。料理は素材の美味しさを極限まで生かした素晴らしいもの。熱い物は熱いうちにすぐに食べてほしいのです。
    「お米が主役。すべての料理は前菜」と断言し、最後に出るのが炊き立ての煮えばなひと口から始まるまさにお米のショー。パルメジャーノチーズの入ったリゾットにしたり、残った一粒までお焦げのせんべいにして食べさせてくれます。
    きっと思い出に残る夜となるはずです。

     

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