ume,yamazoe (ウメ ヤマゾエ) (山添村/奈良県)~「ないもの」が「ある」ことに気付けた幸せ

ume、 山添村
お洒落だけれど温かいインテリアの「めぶき」の室内

お洒落だけれど温かいインテリアの「めぶき」の室内

この椅子に座ってずっと里山の景色を眺めていたい

この椅子に座ってずっと里山の景色を眺めていたい

ホーホケキョ♪ホーホケキョ♪ あ、ウグイスだ!
ウグイスの鳴き声で目覚めるなんて、何10年ぶり?!私の故郷、京都の金閣寺でも子供の頃はウグイスが鳴いていたなあ。里山の朝は昔懐かしい気持ちで明けたのです。
三重県との県境に近い奈良県の奥大和地方の山添村。村を見下ろすような高台にある「ume,」はそんな自然の中にある築120年以上の古民家の宿です。ひたすらのどかで心休まる里山の風景を眺めながら過ごす特別の時間。1日3組だけの小さな宿だから静けさは守られています。雲海に上る日の出シーンというのは、寝坊して見逃してしまったけれど。
宿のオーナーである梅守志歩さんは、まだ33歳という若い女性。最初に出迎えてもらう瞬間から、ゲストは皆彼女の明るさに魅了されます。満面の笑みとたくさんの会話ですぐに打ち解けてしまう人懐こさ!センスも良くて、この宿を居心地よくしてくれる貴重な存在なのです。話していくうちに、彼女にとってもこの宿を営むことはまさに天職だと私は確信しました。
実家はわさび寿司など創作鮨で有名な奈良の梅守本店。実家の寿司会社で働いていた彼女ですが、自然の中で暮らしたくなって2016年この山添村に移住。ゆっくり準備して、2020年3月にこの宿をオープンしました。

若くしてオーナーの梅守志歩さんと

若くしてオーナーの梅守志歩さんと

なるべく古き良き部分は残しつつ、モダンなインテリアを取り入れて快適に。古い建物に斬新な家具。その旨い融合が何とも心地よいのです。自然を愛でるために不要なものはありません。テレビ、たくさんのアメニティ、過剰なもてなし・・・。その代わりここにしかないたくさんのものがあると彼女は書いています。静かな空間、風の音、鳥の声、草木の香り、夜空の星、日本人の伝統的な暮らしを営む村の人々。とりわけ何でも知っているおばあちゃんや優しいおじいちゃんたち。
「ないもの」が「ある」からしあわせではなくて、「ないもの」が「ある」ことに気づくしあわせを。実際にこの宿に泊まってみて、梅守さんのこうした深い言葉に頷くのでした。
私たちの部屋はレセプションからすぐの「めぶきmebuki」。部屋は2階建てのメゾネットタイプ。家具やカーペットのセンスの良さに脱帽です。お風呂はシャワールームと半露天の檜風呂があります。湯船は背もたれに傾斜が付いたとても心地よいデザインです。上のフロアーにもダブルベッドとトイレ、クローゼットがあり便利です。
この宿の自慢のひとつがサウナです。Ume,saunaと名付けられ、屋外に作られたフィンランド式サウナで、日本のサウナのようにカラカラに熱くなくて、ジンワリと温まります。石にお茶をかけるのでいい香りが漂います。外には露天風呂のような湯船が置かれ、水風呂にして浸かったり、屋根に設えた外気浴スペースで雲海を眺めたりも。

このサウナ目当てに泊まりにくるお客さんもいるそう

このサウナ目当てに泊まりにくるお客さんもいるそう

2020年のサウナシュラン第10位(プロサウナーたちの厳正な審査で選ばれた今行くべき日本のサウナ施設)に選ばれたそうです。湯あみも貸してくれて、1組2時間の貸し切りなので安心して楽しめました。サウナを楽しんでお腹が空いてきたらディナーです。
ディナーはダイニングのカウンター席で頂きます。前菜や煮物、焼き物のほかに、目の前で一つ一つ揚げてくれる天ぷらやお得意の寿司がたくさん出ます。梅守さんはもともとお寿司は握れるそうですが、このためにてんぷらを勉強しに行ったそうです。エビやレンコンなどのほか、コゴミやタラの芽など新鮮な山菜も揚げてくれて美味。
最後に出る3段重ねのスペシャリテの寿司盛り合わせは驚きの豪華さと美しさです。奈良の梅守本店のスタッフが手伝いに来てくれるそうで、本格的な味が楽しめます。鯉のぼりをイメージしたイカの可愛い創作鮨などユニークです。
朝食は座敷の方で家族だけでセットしてくれました。近くの村からお手伝いに来ている女性のお料理はどれも美味しくて、田舎らしくナチュラルな素材も味付けも優しくて完食!
チェックアウト後タクシーで奈良駅へ向かおうとしたら、タクシーの手配が手違いで出来ていなかったため、朝御飯を作ってくださった女性がなんと自分の車で駅まで送迎してくれました。陽気な方で話題が豊富で楽しくて、いろんな話が聞けてこれまた最高のひと時が過ごせました。おばあちゃんというお年ではないものの、何でも知ってる楽しい村の人とも触れ合えたのです。彼女は何度もこう言っていました。「山添村はホンマに暮らしやすいところなんですよ~」生まれ育ったこの村を心底気に入っているようです。
駅に着いて最後、ハイタッチで別れたのも最近では久しぶりで嬉しかったのです。本当にこの宿の女性たちは皆さん魅力的でした。また訪れたくなる、懐かしい故郷のような存在になりました。
(2021年4月訪問)

旅館名山添村 ume,
住所奈良県山辺郡山添村片平452
TEL0743-89-1875
お風呂各部屋にあり
予算2名1室利用の場合1名29500円~(2食付き)
露天風呂付客室あり

 

ペンギン案内人2号/井原 三津子

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