なんら奇をてらった出汁ではない。なのにこれほど美味しいとは!
雲丹と帆立のご飯が少しだけ。最初に食欲がムクムク湧いてくる
京都は祇園や木屋町だけでなく、ちょっと外れた場所にも隠れた名店があります。京都は南北と東西の通りを重ねるのが住所でその場所がわかるのですが、堺町と竹屋町の角近くに2017年4月にオープンしたこの店にお邪魔したのが、オープンしたての7月頭のことでした。
トウモロコシやアスパラ、黒い枝豆のかき揚げも簡単そうでいて奥が深い味
ご主人の木山義郎氏は、正統派京料理で有名な「和久傳」などで料理長を務めていた経歴があり、独立してこの店を開業されたそうです。カウンター9席と5名用個室があって、その夜はすでにカウンターは満席なので私たちは個室に通されました。ここの料理はお出汁が特別素晴らしいとのうわさで、それもお客さんの目の前で出汁を取るところを見せてくれるということだったので、カウンター席でないことにちょっとがっかりしていました。ところがしばらくすると、ご主人が出汁を取るため特注されたというガラスの容器と漉し器と台座を一式個室に運んできてくれたのです。そして目の前でその素晴らしい出汁ショーが始まりました。昆布出汁に鰹節と鮪節をそれぞれ加えてさっと漉す。お出汁のとてもいい香りが辺りに漂ってなぜか厳粛な気持ちになって背筋が伸びます。そして鰹節と鮪節で取ったばかりのお出汁を両方味見させてくれました。御所に近いので同じ水脈の井戸を掘ったところとてもいいお水が出たので、このお店を開く決心をしたというほど水にこだわったご主人。だからこそと言えるほど、まろやかで澄んだ美味しいお出汁が誕生したのでしょう。
最後のお楽しみは卵かけご飯が嬉しい。御出汁に使う最上級の鰹節も!
このお出汁を使った料理の数々は、ご主人の腕の見せ所で、どれも独創性があり味も自然で素材の良さを生かしたものばかり。最初にウニと帆立の御飯が少し出されたのも、食欲を増進させられ気が利いているものでした。夏らしくトウモロコシと黒い枝豆の天ぷらや焼きナスの上にタラを載せたもの、そして清らかな出汁のお椀など、ヘルシーで味のコンビネーションも抜群でした。あれから3年。その後進化した「木山」の料理をまたそろそろ食べに行きたいものです。今度は冬にでも。
レストラン名 | 木山 |
ジャンル | 日本料理 |
住所 | 京都市中京区堺町通り竹屋町下る西側ヴェルドール御所1F |
TEL | 075-256-4460 |
予算 | お任せのみ 昼10000円~夜15000円~ |
座席 | 14席 |
個室 | あり |
予約の可否 | 完全予約制 |