あさば (修善寺温泉/静岡県)~この風格と空気感!これぞ本物の名旅館

半世紀以上の歴史を持つ宿の風格

半世紀以上の歴史を持つ宿の風格

露天風呂からも能舞台が見える

露天風呂からも能舞台が見える

本物の高級旅館と呼べる宿には共通して空気感のちがいがあります。通常の宿とは異なり、ぴんと張り詰めたような、凛とした空気が流れているのです。今回訪れた旅館「あさば」もそうでした。どこもかしこも、出来立てのように新しく保たれて気持ちがいいのです。館内すべてが畳敷きで、靴を脱いで裸足で歩きますが、埃ひとつないどころか、新しい畳の香りがするほど美しく掃き清められているのです。清らかで優雅な空間です。
能舞台のある格式の高い宿とは聞いていましたが、実際に月1回ほど能が開演されているそうで、鯉のいる池を隔てて、客室からも能舞台が楽しめるのです。長い歴史を持つこの宿がずっとこうした風格を保ってきたのも、能舞台の存在によるところが大きいでしょう。まさに日本の伝統文化の凝縮された世界がここにはあるのです。

撫子の部屋の18畳もある寝室

撫子の部屋の18畳もある寝室

もうひとつ本物と呼べるのがここのサービスでしょう。冬の寒い日、外はあいにくの雨でした。前の宿を12:00にチェックアウトして、観光をする気にもなれずタクシーであさばに向かいましたが、13:00に着いてしまったのです。チェックインは14:30からです。ラウンジででも待たせてもらおうと思いながらタクシーを降りました。すると2人の男性スタッフが駆け出してきて、明るくいらっしゃいませー!!と出迎えてくれたのです。玄関でも3人の女性スタッフがニコニコして声を揃えていらっしゃいませー、どうぞこちらへとラウンジへ案内してくれました。その温かい対応にはさすがは「あさば」だと感心しました。世に言う高級旅館の中には、早く着いたらかなり残念な対応をされたこともあります。Tシャツ姿で無視して素通りとか、玄関のかぎがかかっていたところもありました。時間外の客は客じゃない・・・とでもいうような。それに比べ、最高の対応を受けて本当に嬉しくなりました。結局は遠慮して修善寺を参拝してから戻って来て、それでも予定よりかなり早く部屋に入れました。大浴場も貸切風呂も一番風呂を楽しめご機嫌でした。

松葉蟹真薯椀の真薯ほぼすべて蟹だった

松葉蟹真薯椀の真薯ほぼすべて蟹だった

ふと気付いた宿の心遣いが一生忘れない思い出に残ることさえあります。露天風呂の脱衣所は屋外で寒いこの季節、なんとふわふわのバスタオルが保温器の中で温めて置かれていたのです。これには感動でした。またお湯から上がって外に出ると、湯守の白髪のおじいさんに「お湯の温度はいかがでしたか?」と声を掛けられました。温度を測りたいので、とのことでした。お風呂をいつも適温に保つようまじめに管理しているおじいさんの存在にも心を打たれました。
全16室ある割に大浴場の湯船が小さいとか、洗顔フォームが置かれていないとか、サロンでないとコーヒーが飲めない(部屋にエスプレッソマシーンがない)など細かい不満はあったし、実のところ食事が期待に反して洗練された料理でなかったなど問題点はありました。本音を言うなら何よりもコスパが悪い宿です。でもコスパのことをいちいち気にする人は泊まらない方がいい。すべてを差し引いても、この風格と凛とした空気感とサービスにはお金を払う価値がある、それが私の結論です。  (2021年1月訪問)

旅館名あさば
住所静岡県伊豆市修善寺3450-1
TEL0558-72-7000
お風呂大浴場、露天風呂
予算2名1室利用の場合 1人52000円(内風呂なし、2食付き)~
露天風呂付客室あり

 

ペンギン案内人2号/井原 三津子

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