死ぬまでに一度は訪れたい、ブルース・チャトウィンも愛したパタゴニア

パイネのグアナコ達。その愛らしい外見とは裏腹に厳しい大地で逞しく生きています。

南米アルゼンチンとチリの南緯40度付近より南を指す地名「パタゴニア」。南半球の最も南に位置するこの地方は、年間を通して強い風が吹くことから“風の大地”と呼ばれ、厳しく雄大な自然の宝庫です。イギリスの紀行作家ブルース・チャトウゥンの名作“In Patagonia”に出会い憧れを抱き続け、2018年12月、念願叶って初in Patagoniaして参りました。そしてチャトウィン同様、この魅力的な土地の魔法にかかってしまいました….。数多の旅人を魅了して止まないパタゴニアで、あなたも是非、素敵な魔法にかけられてみませんか?

ティエラ・デル・フエゴ国立公園 PARQUE NACIONAL TIERRA DEL FUEGO

世界の果て号列車(Tren del Fin del Mundo)で出発進行

アルゼンチンの最南端、ティエラ・デル・フエゴ島にある人口約7万人の都市、ウシュアイア。街の西10㎞程の地点から広がる、世界最南端の過酷な自然にさらされた国立公園がティエラ・デル・フエゴ。ここでは「世界の果て号」と呼ばれる、蒸気機関車に引かれた観光列車が走っています。元々はウシュアイア刑務所建設のために伐採した木材を運んでいた列車で、1947年に刑務所が閉鎖されるまで、世界最南端の鉄道として活動を続けていました。

「世界の果て」にある郵便局では、その証明のスタンプを押してくれる

国立公園内はそれぞれの見所が離れているため、ツアーに参加するのが一番簡単で効率的な方法です。ツアー途中で立ち寄る管理事務所では、希望者には「世界の果て」記念スタンプをパスポートに押してくれるのも嬉しいですね。もちろん、時間の許す方はトレッキングを行うことも可能です。エンセナーダ湾から始まるセンダ・コステーラ(海岸線の道)のハイキングルートは本当に素晴らしいので是非。

ビーグル水道 CANAL BEAGLE

風光明媚なウシュアイアの街。多くのツアーはPuerto de Ushuaia(港)から出発します。

マゼラン海峡、ドレーク海峡とともに、南米の大西洋と太平洋間の水路となる“ビーグル水道”。ウシュアイアの港からは様々なクルーズ船ツアーが出ており、絶景の中、オタリア(南米アシカ)やマゼランペンギンのコロニーなど、この地特有の動物達の野生の姿を見ることが出来ます。強烈な向かい風の中、力強く空を飛ぶウミウの姿は本当に圧巻です。人間も甲板の上で立っているのがやっとなほどなのに!

97年公開の香港映画「ブエノスアイレス」に登場し、一躍有名となったエクレルール灯台

南半球の南端に位置する土地柄、あまりの強風でツアーが急遽キャンセルになることも。翌日以降に振り替えはしてもらえるものの、日程の都合上ワンチャンスしかない方も多いです。振替になる可能性を考慮して、ビーグル水道のツアーはなるべくウシュアイアの滞在前半に入れておいた方がいいですよ。

プエルト・ウィリアムズ PUERTO WILLIAMS

定住が始まった1953年頃から主にチリ海軍の基地として用いられた

ビーグル水道に面したチリ領、ナバリノ島の都市。2019年3月に町から市に昇格され、それまでのアルゼンチンのウシュアイアに代わり、「世界最南端の都市」となりました。
メインのアクセスは、ウシュアイアからボートで約3時間、またはチリのプンタアレーナスから飛行機で約1時間。いずれも毎日運航しているわけでは無く、天候不順によるキャンセル等もある為、物理的な遠さもさることながら、非常に旅程に組みづらい、でも一度は訪れてみたい南極に最も近い世界の最果ての街です。

衣類をまとわず、炎で暖を取ったと言われるヤーガン族(壁画はウシュアイア)

この地の先住民族「ヤーガン族」は、極度に寒い気候の地域に住んでいたにもかかわらず裸族として有名で、つい数年前まで純血最後のセニョーラが暮らしていました。ヤーガン族は我々と同じモンゴロイドに起源をもつと言われており、遠いアラスカから南米最南端のナバリノ島まで移動して来たというのだから驚きです。日本から遥か17,000㎞離れたこの街で、太古の人類の歴史にロマンを感じでみませんか?

ロス・グラシアレス国立公園 PARQUE NACIONAL LOS GLACIARES

ぺリトモレノ氷河。先端部の幅は約4-5km、高さはなんと約60mにもなる。

エル・カラファテの街から西へ約50㎞、世界遺産ロス・グラシアレス国立公園の目玉ともいえるぺリトモレノ氷河。湖面からの高さは約60m、なんと15階建てのビルとほぼ同じ高さという巨大な氷の塊の迫力たるや!現在でも成長と崩壊を繰り返しており、巨大な氷河のどこかでは常に崩壊が起こっている為、大砲の音に似た“ドドーン!”という轟音が響き渡っています。

スリル溢れるトレッキングのあとは氷河の氷を使ったオン・ザ・ロックで乾杯。

このぺリトモレノでは、氷河の上をトレッキングするというスリル満点の粋なツアーがあるんです。離れた場所から眺める氷河は他にもありますが、一般の観光客が「歩ける」氷河は限られています。ぺリトモレノはそんな数少ない氷河のひとつですので、日本からはるばるカラファテまで来るのであれば絶対にお勧めします。実際に氷河の上を自身の足で歩いて、氷の色、形、大きさ、音、硬さ、味に触れて、五感で氷河を感じてみて下さい!

エル・チャルテンでトレッキング① ~カプリ湖&ロス・トレス湖コース~

エル・チャルテンでは、日帰り可能な魅力溢れるトレッキングコースが盛りだくさん

エル・チャルテンにはフィッツロイを代表とする素晴らしいパタゴニアの風景を堪能出来るトレッキングルートがいくつもあります。代表的なルートは2つあり、ひとつがフィッツロイを目指してカプリ湖を通り、ロス・トレス湖まで行くルート。このコースが最もハード、かつ一番人気です。

吹雪の過ぎ去った後のフィッツロイ… 頂上でこれが見たかった!!

町中の Hosteria を夜中の2時に出発。私の場合は出発から下山まで合計14時間も掛かりました。残念ながら頂上に着く寸前のタイミ ン グでまさかの吹雪… フィッツロイの影すら見えず(涙)。その後、下山を開始し程なくして眩しいばかりの青空に… 人生とはかくもままならないもの。
トレッキングはキツイけどフィッツロイの朝焼けは見たい!という方は、チャルテンの街中でもフィッツロイを拝むことが出来ますよ。夏のパタゴニアの日の入りはおよそ5:00~6:00。真っ赤に照らし出されるフィッツロイは本当に一瞬なので、そのタイミングをお見逃しなく!

エルチャルテンでトレッキング② ~セロ・トーレ&トーレ湖コース~

トーレ湖へのトレッキングルート。遠くに見えるのがセロ・トーレ。

もうひとつの代表的なコースが、セロ・トーレを目指すコースです。せっかくチャルテンまで来たしトレッキングはしたいけど、ロス・トレス湖まで登るのはちょっと… という方にお勧め。ロス・トレス湖コースほど高低差も大きくなく、往復約8時間の行程でゴールのトーレ湖までたどり着けます。運が良ければ、湖に鏡張りになったセロ・トーレが見られるかも?!

湖の奥にそびえるセロ・トーレ。手前に見える氷河から溶けたが氷が湖に流れ込む。

トレッキングについては国立公園管理局(ビジターセンター)で相談してみるのも良いですよ。
公園管理局はMirador de Los Condoresコースのスタート地点でもあるので、訪問ついでにそのままトレッキングに行くことも可。
そして何よりチャルテンで一番お勧めしたいのが、トレッキング後に頂く地ビール!その名も“Patagonia”。心地良く疲れた体に芳香なペールエールが染み渡り、あなたのパタゴニアの思い出が5割増しになること間違いなしです。

トレス・デル・パイネ国立公園 PARQUE NACIONAL TORRES DEL PAINEP

ラグーナ・アマルガのビューポイント <パイネ国立公園>

荒々しく氷河で削られた山々、冷たい風になびく草原、色鮮やかな高山植物、深い青の湖などなど、パタゴニアの見所がぎゅぎゅっと凝縮された場所、トレス・デル・パイネ国立公園。中でも有名なクエルノス・デル・パイネと呼ばれる「パイネの角」は、黒い泥板岩と白い花崗岩のコントラストが美しい、まさに自然が創り出したアートそのもの。

あざとかわいすぎるグアナ子。

“風の大地”らしく強烈な風が吹き荒れる中、雲が飛ばされるように流れて行き、その下にどっしりと連なるパイネ山脈の姿は言葉を失うほどの絶景です。私はカラファテからの日帰りツアーに参加しましたが、チリのプエルトナターレスから訪問したり、国立公園内のホテルに泊まったり、キャンプをしながらトレッキングすることも可能です。カラファテから行く場合は、国境を越えるツアーなので、パスポートをお忘れなく。

 

ペンギン案内人31号/海保 ちぐさ

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