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ブータンvsネパール どっちが観光旅行におすすめ?違いはどこ?

ツェチェの祭り(ブムタン/ブータン)

ツェチェの祭り(ブムタン/ブータン)

ヒマラヤの国、ブータンとネパール。どちらも圧倒的な大自然と独自の文化を誇っているようなイメージがありますが、実際のところどうなんでしょうか? 共通点は? 違いはどこ? どっちが観光旅行におすすめでしょうか? そんな疑問にお答えするのがこのコラムです。ブータン、ネパール旅行対決7番勝負。さて、勝敗の行方はいかに?

ブータンvsネパール 共通点は?

ブータンの小学生(トンサ)

ブータンの小学生(トンサ)

ブータンとネパール。ともに中国とインド2つの大国に挟まれた国です。国の北側にはヒマラヤの高峰がそびえているのも共通点です。反対に南部は標高が1000m以下の地域もあり、亜熱帯や熱帯ジャングルで、野生動物の楽園にもなっています。どちらも国中すべてが山の中にあるわけではありません。
気候はほぼ同じで、10月から5月が乾季、6月から9月が雨季となっています。乾季はヒマラヤの山々が見られる確率が高く、中でも3月、4月、10月、11月がトレッキングに最適のシーズンというのも共通です。

「はなのいえ」からのアンナプルナの眺望(アスタム/ネパール)

「はなのいえ」からのアンナプルナの眺望(アスタム/ネパール)

一時は日本から直行便がネパールに飛んでいましたが、今はすべて乗継便しかありません。どちらの国へも乗継便となります。ネパールへはバンコク、デリー、クアラルンプール、ソウルなどから経由していくしかありません。一方のブータンもバンコク、デリーまで行き、そこからブータンの航空会社を利用し、ブータンへ向かうことになります。

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ブータンvsネパール 違いはどこ?

ポンテの棚田(ブータン)

ポンテの棚田(ブータン)

同じヒマラヤの国のブータンとネパールですが、共通点より違いの方が目立ちます。まず国の大きさはブータンが3.8万平方km, ネパールは14.7万平方kmとネパールがブータンの約4倍の広さです。人口にいたってはネパール2970万人、ブータン75万人と、約40倍の違いがあります。
かつては2国ともに王国でした。しかし、ネパールでは2008年に王政が廃止され、連邦民主共和国になりました。ブータンは王政が続いているので、ここも大きな違いです。
宗教はブータンはブータン仏教(チベット仏教)ですが、ネパールはヒンドゥー教なので全く違います。かつてはネパール政府はヒンドゥー教を国教にしていました。ネパールの町ではチベット仏教も混在していますが、メインはヒンドゥー教なのです。

ジョムソンから聖地ムクティナートへの道(ネパール)

ジョムソンから聖地ムクティナートへの道(ネパール)

一番大きな違いは外国人の観光に対しての政策です。ネパールは普通に大使館や空港でビザを取れば入国でき、国内を自由に回れますが、ブータンはそうでありません。政府が観光を直接管理していて、ホテル、食事、ガイド、車などがパッケージになっていて、1日あたりの公定料金が決まっているのです。こうしてブータンの現地旅行の手配を頼み、それが完了されてはじめてビザの申請ができるのです。ブータンは個人の自由旅行はできません。日本のブータンを取り扱っている旅行会社のツアーに参加するか、またはオーダーメイドのツアーを依頼するかのどちらかの選択となります。どちらにしろブータンの旅行はネパールに比べ、かなり割高となります。

山岳美対決 ブータン4.2点×ネパール5.0点(5点満点)

タサンビレッジからのダウラギリ峰の眺望(ネパール)

タサンビレッジからのダウラギリ峰の眺望(ネパール)

ヒマラヤの2つの国ですが、山岳美をより堪能できるのはネパールです。世界でベストの山岳風景といっても過言ではないでしょう。ネパールに行くならアンナプルナを眺望できる湖の町ポカラやエベレストの展望地ナガールコットへ行くのは定番ですが、できればもう少しヒマラヤに近づく旅をおすすめします。それにはトレッキングが一番です。トレッキングコースはエベレスト、アンナプルナ、ランタンいくつものエリアがあります。日帰りのミニハイキングから本格的なトレッキングまでいろいろなバリエーションがあるのもネパールの特徴です。最低でも1泊2日のダンプスへのハイキングに行きたいところです。また、歩けない人でもヒマラヤの絶景が楽しめる場所も数多くあります。その中のおすすめはジョムソンから3798mの聖地ムクティナートまでの車での道のりです。お手軽にヒマラヤの絶景を見るホテルとしては、ダウラギリ峰が目の前にあるナウリコットの「タサンビレッジ」やアンナプルナの展望が美しいアスタムにある「はなのいえ」などがおすすめです。

チョモラリ・トレック、トレッキング中の風景(ブータン)

チョモラリ・トレック、トレッキング中の風景(ブータン)

一方のブータンは8000m級の山はなく、最高で7000m級の山になります。ヒマラヤの国ではありますが、訪問する町や村からのヒマラヤはあまりにも遠く、展望を楽しむというレベルに達しません。この国でヒマラヤを楽しむにはトレッキングするしか方法がないです。トレッキングのコースは6泊7日のチョモラリ・トレックが代表的で、他のもいろいろなルートがあります。7000m級の山々の山岳展望を堪能できるまでは数日間歩かないといけません。歩かずに山の眺望を楽しむというのはブータンでは考えられません。すべてのトレッキングルートは地元民や遊牧民の生活道路です。ベルの音を響かせながらヤクが歩いて行ったり、荷馬のキャラバン隊に出会ったり、まるで自分が中世の旅人になったかのようなタイムスリップしたような風景を見るのも楽しみです。山岳美と言う点ではネパールに劣るかもしてませんが、違った意味で、ブータンのトレッキングも楽しいです。

寺院対決 ブータン5.0点×ネパール5.0点(5点満点)

クジェ・ラカン(ブムタン/ブータン)

クジェ・ラカン(ブムタン/ブータン)

ブータンの風景になくてはならないのがブータン仏教の寺院です。ブータンの絶景としてあまりにも有名なタクツァン僧院ははずせない一大観光ポイントです。片道2時間歩いてタクツァン僧院を眺望できるレストハウスまで登れば写真で見た景色に出会えます。しかし、僧院へは、さらにここから1時間半かかります。ブータン最大級のパワースポットなので、できれば僧院まで行ってください。
また、ブムタン谷も必見の場所です。伝統的な暮らしと仏教信仰が調和した心温まるエリアなのです。クジェ・ラカン、ジャンパ・ラカン、タムシン・ゴンパなどの名刹が集まっています。ブムタンへはゲートウェイのパロから途中で1泊しないといけないブータンの辺境地ですが、訪れる価値は十分あります。

スワヤンブナートはチベット仏教の寺院(ネパール)

スワヤンブナートはチベット仏教の寺院(ネパール)

ネパールも寺院では負けていません。カトマンズ市内にはチベット仏教、ヒンドゥー教の寺院が混在します。チベット仏教の聖地ボダナート、丘の上にあるチベット仏教寺院スワヤンブナート、ネパール最大のヒンドゥー教寺院のパシュパティナートなどは必見中の必見。また、カトマンズ、パタン、バドガオン(バクタプール)のカトマンズ盆地にあるヒンドゥー教の寺院群もなぜか心に残ります。インドのそれと違い、五重塔のような建物があり親密感を覚えるからなのでしょう。
寺院対決はブータン、ネパールともに健闘し、引き分けとなります。

伝統文化体験対決 ブータン5.0点×ネパール4.0点(5点満点)

ホームスティ先で夕食を取る(ポプジカ/ブータン)

ホームスティ先で夕食を取る(ポプジカ/ブータン)

1970年代まで鎖国していたブータン。その後も外国人受け入れは、1日あたりの公定料金を設定し現地パッケージツアーに参加する人のみ入国を認めるという世界にも例のない観光政策でした。こうしたおかげで外国人観光客の増加を抑制され、西欧文明があまり入り込まなかったこと、また、ブータン仏教の信仰とブータン人の国民性などから、ブータンは伝統文化が今も色濃く残る国となっています。
まるで現代社会から江戸時代へタイムスリップしたような感覚こそがブータン旅行の最大の魅力です。ブータンの暮らしの中に溶け込むような旅をすれば、この国の良さを最大限に理解できます。民家を訪問して民族衣装のゴやキラを着たり、ホームスティをしたりする旅、そんな旅こそがおすすめの旅です。パロ国際空港から車で20分、30分くらいで、そんな伝統文化を体験できるのです。

赤ちゃんをあやしていたおばあさんと(ガーレ村/ネパール)

赤ちゃんをあやしていたおばあさんと(ガーレ村/ネパール)

片やネパールの1970年代は全く違う歩みを遂げていました。バックパッカー達が世界中を駆け巡りはじめた時代からカトマンズは観光客で賑わっていました。物価が安く、人情もあるこの町は外国人ツーリストにとって居心地のいい場所だったのです。ヒマラヤの辺境の国にその頃から西欧文明が流入します。こうしたことから特に都市や観光地では伝統文化を感じることは少なくなっています。
ただネパールも広く、田舎へ行けば昔ながらの自給自足の生活をしている人も少なくありません。車で5時間とか7時間とか手軽に行ける場所ではありませんが、そういう秘境の村へ行って生活体験をすればホンモノのネパールの姿を発見できます。
という訳で伝統文化体験対決はブータンの勝利ですが、ネパールもかなり田舎に行けばブータンに近い体験は可能です。

食事対決 ブータン3.0点×ネパール4.0点(5点満点)

ジャガイモの煮込み料理ケワ・ダツィ

ジャガイモの煮込み料理ケワ・ダツィ

ブータンではご飯と野菜の煮込みが基本的な食事のセットとなります。代表的なブータン料理はエマ・ダツィです。エマは唐辛子、ダツィはチーズを意味します。つまりエマ・ダツィは唐辛子のチーズ煮込みです。関連のパターンとして、ジャガイモが中心の煮込み(ケワ・ダツィ)や、キノコ中心の煮込みなどもあります。とにかくブータン人はこのエマ・ダツィが大好物だそうです。肉や野菜は乾燥させて使うのもブータン料理の特徴です。お米は赤米も食べます。ダル(豆のスープ)も代表的なメニューです。ブータン人はあまり食べませんがブータンは松茸の産地です。日本のレストランでもブータン産の松茸を稀に見かけます。最近はブータンに松茸を食べに行く人もいるとか。
正直言ってブータンの食事はバリエーションも少ないしおいしいとは思えませんでした。しかし、どうしても食べられない料理というほどではありません。想定内の料理だったと思います。

ダルバート・タルカリ(ポカラ/ネパール)

ダルバート・タルカリ(ポカラ/ネパール)

片やネパールの食事。代表的なネパール料理はダルバート・タルカリというワンプレートに盛り付けたネパール定食です。ダル(豆のスープ)、バート(ご飯),タルカリ(カレー風味のおかず)、アチャール(漬物)がついています。チベット料理のレストランが多いのもネパールの特徴です。商売上手なチベット人のお店は結構繁盛しています。ネパールでのおすすめはチベット料理かも。ギャコク(チベット風鍋料理),チョウメン(焼きそば)、トゥクパ(麺料理),モモ(ぎょうざ),フライドライス(焼き飯)、春巻など、どれも日本人の口にあいます。また、各種西洋料理、中華料理、インド料理、日本料理の店もあり、ネパールの食事はバリエーションも豊か。食事は圧倒的にネパールの勝利です。

首都(都会)対決 ブータン3.0点×ネパール4.5点(5点満点)

タンチョ・ゾン(ティンプー)

タンチョ・ゾン(ティンプー)

首都(都会)対決という言葉が出た瞬間にブータンの敗北が決定です。そもそもブータンに都会は存在しません。首都ティンプーでさえ、都会というよりも田舎町と言った方が適切な大きさの町。しかも田舎に行けば、町らしい町もないというレベルなのがブータンの姿です。
首都対決は観光ポイントの豊富さ、食べ歩きのバリエーション、ショッピングの楽しさ、エンターテイメントの多様性、どれをとってもネパール・カトマンズの圧勝です。おまけにカトマンズの町は世界遺産にも指定され、最低2泊は滞在したいし、時間があれば3泊以上滞在してもいいほどの魅力的な場所です。
一方、ブータンのティンプーは見どころは「タシチョ・ゾン」や「メモリアルチョルテン」など少なく、せいぜい1泊すれば十分です。

カトマンズ市内はインドの街のようなカオスな感じ(ネパール)

カトマンズ市内はインドの街のようなカオスな感じ(ネパール)

ティンプーはかつては町の中に信号機さえなかったくらいの田舎でした。しかし、今では人口も10万人を超え、田舎町くらいにまで発展しています。ブータン各地から人が集中してきて、町の道路が渋滞することも多くなりました。ひょっとしたら、かつての信号機のないティンプーの方が居心地がよかったかも。
今やティンプーの町にはバーやクラブがあり、地元の若者でにぎわってきています。神秘のヒマラヤの国がブータンというのは自分たちだけが持っているイメージにすぎないのかもしれません。人々はすでに普通にスマホを持つようになりました。急速に普及したテクノロジーはブータンという国を変えるのでしょうか?すごく気になるところです。

動物対決 ブータン3.5点×ネパール4.5点(5点満点)

ターキン保護区(ティンプー近郊/ブータン)

ターキン保護区(ティンプー近郊/ブータン)

初めに結論を言うと、この勝負もネパールの勝ちです。チトワン国立公園、バルディア国立公園のサイやベンガルトラなどのサファリが楽しめるからです。
といってもブータンに動物が少ない訳ではありません。むしろ野生動物の天国とも言われていますが、サイやベンガルトラがいないからではありません。その代表的な場所がロイヤル・マナス国立公園です。まだ観光開発が進んでいないので気軽にいける場所になっていないだけです。
ブータンで現在、動物とのふれあいができるのはポブジカです。毎年500羽近くのオグロヅルが飛来します。また世界3大珍獣、巨大なウシ科のターキン保護区に立ち寄るのも楽しいです。

ゾウに乗って川を渡りサイを探す(チトワン国立公園/ネパール)

ゾウに乗って川を渡りサイを探す(チトワン国立公園/ネパール)

さて、ネパールですが、サファリはチトワン国立公園へ行くのが一般的です。カトマンズ→チトワン国立公園→ポカラと周遊するのがネパール旅行の定番だからです。チトワンで見られる動物はサイ、アジアゾウ、ベンガルトラ、ヒョウ、ナマケグマ、ワニなど。シカは4種類、サルは2種類生息しています。チトワンで楽しめるアクテビティはまず第一にゾウに乗ってサイを探すエレファントサファリがハイライト。このサファリは世界的にみても珍しいです。また、丸木舟で川を周遊するカヌーライドやサファリを楽しむジープドライブなども楽しいので要体験です。

温泉(風呂)対決 ブータン4.5点×ネパール3.5点(5点満点)

ガサ温泉(ブータン)

ガサ温泉(ブータン)

ヒマラヤの山奥で温泉満喫というのが、ブータンでもネパールでもできます。ネパールではアンナプルナエリアの温泉が有名です。地元の人でにぎわうシンハ温泉というのもありますが、旅行者が使える温泉としては、ラトパニ温泉、タトパニ温泉の2つがあります。どちらも川沿いにある露天風呂の温泉で、囲いはなく、丸見え。もちろん水着をつけて入浴します。開放感があり、気持ちがよく、トレッキングや観光の途中にぜひとも立ち寄りたい温泉です。
ブータンはネパールよりも温泉大国といえます。ブータンを代表する温泉がガサ温泉です。混浴で男性は下着、女性は布を巻いて入ります。バンガロータイプの宿泊設備はありますが、温泉街というものはなく、テント持参で温泉に来るというのが基本スタイルです。ブータンでは農閑期である冬の温泉湯治はポピュラーなので、その時期に温泉に行くと混雑ぶりに驚くかもしれません。混雑する時期ははずした方がいいかもしれません。

民家でドツォに入る(パロ/ブータン)

民家でドツォに入る(パロ/ブータン)

ブータンで楽しいことのNo.1はドツォというブータン式の露天風呂の入浴体験に他なりません。たき火で真っ赤に焼いた石を木製の浴槽に沈め、お湯にするのですが、浴槽の水は石を入れただけで、思っている以上の熱い湯に変わります。ブータンの大自然の露天風呂の体験は爽快で、いい思い出になります。焼き石も本来はミネラル分などを考慮して選ばれて、薬効があると信じられています。よもぎの葉を浮かべて入ったりもします。
ドツォの体験はホームスティ先で楽しむのがベストです。日本出発前にリクエストをかけるようにしてください。
温泉(風呂)対決はドツォがある分、ブータンの勝利です。

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まとめ

ヤギを持ち上げる女の子(アスタム村/ネパール)

ヤギを持ち上げる女の子(アスタム村/ネパール)

いかがでしたか? ヒマラヤにある国と言っても、ネパール、ブータンともに個性が強く、どちらがいいとは決めにくいですね。あえて言うと、絶景とか観光地巡りをするなど見る旅ならネパール、伝統文化に触れ感じる旅ならブータンがおすすめでしょう。どちらにしろ、一生に一度は行きたい国々であると断言できます。

 

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