アルジェリアとは?どこにある国?行き方やツアーもご紹介

ジェミラ遺跡の南北を貫くカルド

ジェミラ遺跡の南北を貫くカルド

アルジェリアはアフリカで最大の面積を持つ広大な国です。その面積は日本の約6倍。人口は4200万人余りです。北アフリカのモロッコ、チュニジアとアルジェリアの3国がマグレブ3国と呼ばれ、アフリカにあって他の文化圏と異なるアラビア語の世界。モロッコやチュニジアと比べると、まだまだ観光地化していない素朴なお国柄。フランスの植民地時代の名残からフランス語はよく通じるものの、英語はほとんど通じないのも辺境感を味わえる要因。砂漠やカスバや遺跡など、ダイナミックで印象的な見どころが多く存在するアルジェリア。今回はそんなアルジェリアの不思議な魅力に迫るべく、ペンギン2号こと井原三津子が自身で旅した体験に基づいてご紹介いたします。

アルジェリアってどんな国?

アルジェのノートルダム寺院

アルジェのノートルダム寺院

アルジェリアは広大な国土の大半にサハラ砂漠が広がり、北部には素晴らしい遺跡が存在しています。そして絶対に忘れてはならないのが、砂漠の中の涸れ谷に忽然と現れる不思議な町ガルダイアです。フランスの建築家ル・コルビュジエがインスピレーションを受けたとされるガルダイアにある「ムザブの谷」は、世界でも屈指の魅惑的な建造群と言えるでしょう。私自身、アルジェリアで最も感動した場所がこのガルダイアに他なりません。
イタリア本土より地中海を渡ったアフリカにローマ時代の遺跡が多くあるといわれますが、ここアルジェリアにも必見のティムガット遺跡やティパサ遺跡、ジェミラ遺跡などが存在しています。
その壮大さに圧倒され、はるばるアルジェリアを訪れてよかったとつくづく思うのです。

アルジェリア名物クスクス

アルジェリア名物クスクス

首都のアルジェは「北アフリカのパリ」と称えられるように、フランス風の近代的な建物も多い中、それ以前のオスマントルコ時代の白亜の建物とバランスよく配置され、その地中海の青さと相まって街を歩いているだけでため息のでるほどの美しい景観の連続です。そんな中映画の舞台ともなったカスバを散策し、情緒溢れる町並みを満喫したいもの。アラブの世界を思わせるカスバの存在こそ、アルジェリアらしいと言えるのです。カスバの中は治安が悪いのでガードマンとガイドさん同行で観光しました。
アルジェリア第3の都市、コンスタンティーヌは深い谷に囲まれた中世の街並みで知られる街。深く切り立った峡谷にいくつも架けられた巨大な橋越しにみるコンスタンティーヌの町は他に類をみないユニークな地形が広がっています。

アルジェリアへの行き方

トレッキングガイドとコック (タッシリナジェール)

トレッキングガイドとコック (タッシリナジェール)

アルジェリアへの旅の玄関口は首都アルジェの空港です。日本からの直行便はないですが、たくさんの航空会社がアルジェ行きのフライトを就航しています。例えばカタール航空の羽田または成田からドーハ経由のフライト。日本からドーハへは直行で所要約12時間半。ドーハーからアルジェ間は直行で6時間45分。他にもドバイ経由のエミレーツ航空が成田発着便を就航しています。ターキッシュエアラインズはイスタンブール経由便です。他にもエールフランスなど欧州系のフライトもあります。

タッシリ・ナジェール(サハラ砂漠)のトレッキング中の風景

タッシリ・ナジェール(サハラ砂漠)のトレッキング中の風景

アルジェリアへ行くためにはビザに取得が必要です。個人申請はできないので、ツアーを依頼した旅行会社に依頼することになります。ビザはいつも出発間際にならないと受領できないため、いくら早くから申請しても、その間がパスポートを預けておくことになるので要注意。
入国時には入国カードの記入が必要です。機内で配られたらそれに必要事項を記入しますが、アラビア語とフランス語の表記のみなので注意が必要です。

アルジェリアへのツアー

魚のグリルの盛り合わせ

魚のグリルの盛り合わせ

アルジェリアと言う特殊な国へのツアーは、一般的には団体旅行が主流でしょう。ただし治安などを心配して申込みをするお客さんが少なくツアーが催行しないケースも多いかと思います。また自分の希望にぴったり合った内容と出発日のツアーはなかなか探してもないので、できれば最初から個人手配のツアーを探すのがお薦めとなります。一人から催行するツアーだったら、出発日も飛行機が空いていれば希望通りの出発日で問題なく催行します。ただしかなり奥地を周遊するプランだと、車やガイド代を一人で払うこととなり、一人参加代が高くつくので、予算はある程度の覚悟が必要です。

アルジェ近郊、ティパサ遺跡に近いシーフードの美味しい レストラン

アルジェ近郊、ティパサ遺跡に近いシーフードの美味しい レストラン

またベースとなるシンプルなツアーをアレンジして自分の一番行きたいツアーに組み替えてもらったりも可能です。現地事情に詳しく、実際にアルジェリアへ渡航経験のあるスタッフがいて、個人ベースのツアーを催行している会社を選ぶことが何より大切なのです。実際に見てきて生の情報を教えてもらえるのは、こうした情報のない辺境の国へ行く際に強い味方となってくれるからです。

アルジェリアの治安

素朴で心優しいアルジェリアの人々(ムザブの谷にて)

素朴で心優しいアルジェリアの人々(ムザブの谷にて)

アルジェリアの治安はエリアによって異なります。現在ではかなり治安面で回復していると言え、危険なエリアもあるので、外務省の危険度情報をよく見て旅の計画をしたいところです。アルジェやコンスタンティーヌなど比較的危険度の低いエリアでも、町の一人歩きにはそれなりの注意が必要です。とりわけアルジェのカスバの観光時やコンスタンティーヌのスラムにはガイドなしで出かけるのはやめた方が無難です。

アルジェで出会った女の子たち

アルジェで出会った女の子たち

私がカスバの観光をした際は、ガイドさんのアドバイスで、地元のポリスを2人雇って観光の間中ガードしてもらいました。見たところそれほど危ないムードはなかったのですが、ポリスがいなければ危ない人も近付いてきた可能性があります。
そもそもアルジェリアと言う国は、天然ガスやオイルもあるし、金やダイヤモンドも採れる国です。モロッコやチュニジアに比べてオイルが採れる分、金持ちのはずが、長い社会主義国家ゆえに国民には恩恵がなく、失業率も11%越と高くて、スラムも拡大しているのが現状です。

アルジェのカスバ

カスバの風景

カスバの風景

アルジェにおいてカスバの存在は大きいものがあります。ヨーロッパのように美しい街並みに、アラブの旧市街が同居する不思議な光景。これぞカスバの醍醐味です。ちょうどチュニジアやモロッコのメディナにあたる迷路のような旧市街がカスバで、アラブのムードも満点です。アルジェの港の北側の丘の上に広がっていて、古い階段や建物の間からときどき見える地中海はアルジェのカスバでしか楽しめない景色なのです。
上のカスバは13~14世紀に建てられた狭い路地に密集した家並みが多く、下町のカスバは15~16世紀に建てられた豪華なドーム屋根やモザイクタイルで飾られた大きな家が残っています。映画「望郷」の舞台となったアラブのムードを色濃く残す風景の舞台がここなのです。

カスバの日常の風景。バゲットを運ぶ人

カスバの日常の風景。バゲットを運ぶ人

石畳の小道を彷徨っていると、子猫がひょっこり現れたり、地元の子供たちが付いてきたり。石造りの家に付いている小さな木の扉の中には、革製品をミシンで塗っているおじいさんや、真鍮細工の職人の仕事場だったり、思わぬ発見が楽しいのです。
1992年に世界遺産に登録されたアルジェのカスバですが、こんなに人々の生活に密着した世界遺産もなかなか珍しいものです。今は老朽化が進み倒壊の危険もあるとのこと。カスバの一部はスラム化しており、旅行者だけで行くと危険な場所もあります。私は地元のポリス2人がガードしてくれたので、全く問題なかったし、出会った人も優しそうで危ないイメージではなかったのですが。
夕暮れ時も近付いて海岸沿いまで降りてカスバを見上げると、フランスの植民地時代に建てられた白いコロニアル風の建物に夕日が差して美しく、カスバの古いアラブの世界を隠してしまっていたのです。それはそれで少し寂しい気持ちなのでした。

ギリシャ・ローマ時代の遺跡 ティパサ、ジェミラ、ティムガット

ジェミラ遺跡のカラカラ帝の凱旋門

ジェミラ遺跡のカラカラ帝の凱旋門

ローマ時代の遺跡は、本国イタリアより、海を渡った北アフリカの国々に素晴らしいものが多く存在するのが、旅してみてわかったことです。チュニジアにもモロッコにもはたまたリビアにもたくさんの壮大な遺跡が存在しますが、ここアルジェリアにも素晴らしい遺跡が多いことに驚きました。
たとえばジェミラ遺跡。世界に数あるローマ遺跡の中でも世界最大を誇るものとして知られています。広大な遺跡の中に立って、残された家屋や浴場、フォーラムに劇場など、さらには実際にゲームに興じたであろう石畳に残る窪みや落書きを見ると、まるでローマ時代の人々がそこに生きているような錯覚におちいります。
またティムガット遺跡はその存在を知られるまで長年砂に埋もれていたことから「アフリカのポンペイ」と呼ばれていますが、本場のポンペイよりもティムガットの方が場所柄辺境感があって印象深いものでした。美しい状態で残されている壮大な門を中心に、中心となる一本道に面して両側にあるのはローマ遺跡によくあるように市場跡やホール、浴場にハマム、トイレ、図書館などなど。ここにドーム天井があって、ローマ時代の人々が行き来している様子を想像してみると結構楽しくなったりします。映画「テルマエロマエ」みたいに・・・。

ティムガット遺跡

ティムガット遺跡

もうひとつ忘れてはいけないのがティバザ遺跡です。アルジェから西へ40㎞。地中海沿いに建つフェニキアとローマ時代の遺跡です。国立考古学公園内に位置する遺跡は、ティムガット遺跡などと比べるとその壮大さや見栄えには欠ける気がしました。全長2300mの城壁に囲まれた街の中心には、ローマ神話の神・ジュピターを祀る祭壇、そこを交差点として東西に延びる石畳の街路と海へと続く道の先には、商店街や美しいモザイクの床が残る高級住宅街の面影を残しています。古代ローマ時代の街づくりには欠かせない闘技場、劇場、浴場、また20㎞以上離れた山からの引いた泉(貯水設備)まであったというから驚きです。大きな競技場では、かつて奴隷や罪人がオオカミなどの野獣と戦わされて咬み殺されるシーンを見学していた観客席が5000席あったという話です。今では人っ子ひとりいない静寂の遺跡で、今から2000年以上前の全盛期には1万人もの住民が賑やかに暮らしていたことを想像してみました。
これらのティパサの発掘がされている部分はまだ45%ほどと言われており、まだまだ未知なる遺跡が眠っていることを想うと、ロマンがかき立てられるのです。

アルジェリア最大の見どころ!!ガルダイアとムザブの谷

ガルダイア全景

ガルダイア全景

アルジェリアのどこがよかったですか?そう聞かれたら私は必ずムザブの谷と答えます。世界遺産のムザブの谷には世界でも指折りの不思議な世界が広がっているからです。
ムザブの谷とは中心の町ガルダイアとその周辺のベニ・イスゲン、メリカ、ブー・ヌーラ、エル・アーテフの4つの村からなる地域で、町や村それぞれが他では見られないような独特のつくりをしているのです。丘にびっしりと家屋が立ち並び、てっぺんにはモスクのミナレット(塔)が天に突き刺すかのようにニョキっとそびえています。フランスの有名な建築家ル・コルビュジェもこの光景に感銘を受けたということでも知られています。
アースカラーとパステルカラーの立方体の美しい家々が斜面に張り付くように立ち並び、全体の形は変形したピラミッドともいえる壮麗なカーブの風景を生み出しています。

市場

市場

ガルダイヤの市場は活気にあふれています。ネギにアーティチョーク、カリフラワー、ジャガイモなどなど、この地で採れるという細い人参以外は北部から運ばれてくるそうですが、肉は羊やチキンと並んでラクダの肉も!ラクダの頭や足が丸ごと並んでいてさすがにギョッとしました。土産物屋の2階の絨毯売り場の小窓から広場や建物を見渡していい写真が撮れました。
ムザブの谷の住民の半分ほどはモザビト人と呼ばれる戒律の厳しいイスラム教徒です。中世から今まで、イスラムの戒律が厳しく守り続けられていること。モザビトの女たちは結婚後は白い布で全身を覆い隠し、唯一片目だけをチラッと見せて歩いています。彼女たちは市場で買い物する時も裏口や横手の目立たぬ入口で用を足し、ほとんど遠出することもなくいつも男性に付き添われています。モザビトの男性としか結婚できないし、一生ムザブの谷を出ることもないのです。旅行者にもいろいろな制限があって、ガルダイアの市場を除き現地ガイド付きが必須で、一人で町や村に入るのは禁止。ガルダイアの市場以外での人物撮影禁止。ガルダイア以外での宿泊、食事は禁止。飲酒も禁止。既婚女性に話しかけることも接することも禁止となっています。思えば思うほど、この地は世にもユニークなイスラム教の聖地と言えるのではないでしょうか。

橋の町 断崖の町 こんなユニークな町見たことない!!コンスタンティーヌ

歩行者専用の巨大な吊り橋 ペルゴ橋

歩行者専用の巨大な吊り橋 ペルゴ橋

コンスタンティーヌはアルジェリア東部に位置する第3の都市。この町もユニークさにおいては世界有数!!なにしろ渓谷の崖っぷちに町があって、崖のあっちとこっちを結ぶ吊り橋が4つもあるのです。まず町にたどり着くために深い渓谷をまたぐ橋を渡ります。谷底から160mほどある高さに吊り橋はあって、それは足がすくむような高さ。強風が吹いたら吹き飛ばされそうな気分でかなり怖い!?でも美しいフォルムの橋はとても絵になります。
シディ・ムシド展望台から橋と崖のベストショットを狙います。でも、そこにも金網とか何も張ってなくて、これまた恐怖です。

エミール・アブデルカデル・モスク

エミール・アブデルカデル・モスク

古代からこの地形を生かして天然の要塞都市として注目されてきたようで、町の基礎を築いたのはフェニキア人。その後ローマ帝国に支配され、皇帝コンスタンティヌス1世にちなんでこの名で呼ばれるようになったとのことです。
この町の見どころは橋だけではありません。モスクも素晴らしいのです。エミール・アブデルカデル・モスクは60mを超えるミナレットを持ち、壮大なドーム屋根を持つ広々とした美しい白亜のモスクです。戦時中のヒーローの名前が付いているそうです。

タッシリナジェールの岩絵とトレッキング

タッシリ・ナジェール(サハラ砂漠)のトレッキング中の風景

タッシリ・ナジェール(サハラ砂漠)のトレッキング中の風景

標高1000mほどの台地にあるタッシリナジェール。世界遺産に指定されている岩絵を目指してトレッキングの旅です!昔は緑に溢れてたサハラ砂漠を証明する2万点近くの岩絵が残されているのです。
場所はアルジェから国内線で国の南東部にあるサハラ砂漠の玄関口となる町ジャネットまで行き、そこから4WDで約1時間、その後はタムリット~セファール~ティン・タザリフへ。サハラ砂漠を1日約6~7時間歩く4泊5日の旅。かなり歩きます。ホント嫌というほど歩くのです!!
それでも歩いた先で岩絵に巡り合った時の感動は計り知れません。牛の群れやワニなどの大型動物、人々が狩猟する風景や、踊っている光景なども描かれていて、それらはまさに先史の芸術作品です。今では乾燥した砂漠のこの地が、かつては湿潤なサバンナであったことを物語っていて、とても不思議な気がします。

世界遺産のタッシリ・ナジェール の岩絵群

世界遺産のタッシリ・ナジェール の岩絵群

トワレグ族のガイドとコック、荷物を運ぶドンキー、ドンキーのオーナーたちとと共にキャンプをしながらの旅です。自分でテントを張ったり、トワレグのガイドからトワレグのパンの焼き方や、トワレグティーの入れ方なども教わる体験型の旅。一生の思い出に残る経験となるのです。
時間に余裕のない場合や体力に自信がない場合は、途中で引き返す2泊3日のプランも可能です。健脚で足に自信がある場合は3泊4日で速歩きのプランを組んだり、自分の能力次第で相談してプラニングしてもらえるので、相談してみるのが得策と言えるでしょう。

 

ペンギン案内人2号/井原 三津子

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