私のアフリカ・トラブル体験談─エチオピア・マリ・マダガスカル─

ドゴン族の仮面の踊り
マダガスカルで見かけたワオキツネザルの親子

マダガスカルで見かけたワオキツネザルの親子

アフリカ旅行を検討している方の多くは、向こうで万が一病気になった場合どうしようと考える人も多いでしょう。言葉は通じるのか、そもそもまともな医師や病院はあるのか…。
私は両親の仕事柄、幼い頃から世界中の国を旅してきました。その数は150ヵ国を超え、小学生の頃には既に100ヵ国以上の渡航歴があったほど。その中にはアフリカの国も含まれていて、アフリカ大陸だけでも20近くの国を訪問しています。
しかしこれだけ旅をしていると、当然トラブルは付き物。特にまだ免疫力の低い子供の頃はよく旅先で熱を出していたのですが、その中でもアフリカで経験したトラブルは忘れることが出来ません。
「今までで一番大変だった旅行ってある?」と聞かれた時、もはや定番のように答えている3つのエピソード。いずれも小学生の頃に体験した話なのですが、今回はそれらを皆さんにご紹介していければと思います。

エチオピア─南部の中心都市でも医者はたったの3人

聖オルギス教会(セントジョージ)

聖オルギス教会(セントジョージ)

南北でまったく違った景色が広がり、それぞれ魅力の異なるエチオピア。特にラリベラにある十字架の形をした岩窟教会群や、シバの女王ゆかりのアクスムなどは有名です。
北部の田舎を周遊した後、綺麗なホテルもある首都アジスアベバへ。その中の1つ、5ツ星ホテルに泊まった時、ホテル内のイタリアンレストランで食べたムール貝にあたってしまったのです。田舎のホテルを泊まり歩いた後に、この清潔感のある高級ホテルに滞在したということもあって、油断していました…。
結果ムール貝が苦手な父を除き、私と母はこの辺境の地で食中毒に。私は1個しか食べていなかったのに4回も嘔吐を繰り返してしまいました。しかも間の悪いことに、発症したのは首都アジスアベバから地方の町アルバミンチへの長距離移動中。今更引き返すことも出来ないしと、繰り返す嘔吐と39.3℃の発熱でぐったりとしながらも、なんとか南部の中心都市アルバミンチへと向かいました。

到着するやいなや早速病院へと連れて行かれますが、出てきた白衣の男の人はなんだか頼りない感じ。「貝を食べて吐いた」「蚊には刺されていない」と説明しているにもかかわらず「マラリアじゃないですかねえ?」とボソボソ。よくよく聞くと、大晦日の今夜医師は一人もいないのだとか。なんとこの町には3人しか医者が居らず、1人は不在、1人は手術中。そしてもう1人は所在不明と言われてしまったのです。

人懐っこいラリベラの子供たち

人懐っこいラリベラの子供たち

仕方なくホテルへ戻り、日本から持参したカロナールを飲んで氷で冷やし続けますが、熱は一向に下がりません。後々聞いたのですが、感染症にかかってしまったのではないかと心配した両親はなんとか首都アジスアベバへと帰る手段を探していたようです。ただ週2便のフライトは既に満席で、それならヘリをチャーターしてでも連れ戻って病院へ行かせなくてはと真剣に悩んでいたところ、ガイドのエルメスさんがドクターを連れて戻ってきてくれました。
友人と大晦日のディナーを楽しんでいたのを無理言って引っ張ってきてくれたそうで、エルメスさんは私が病気の間ずっと「アイムソーリー可哀想に」と心配して食事も摂らずにあちこち駆けずりまわってくれていたのだと言います。

幸いにもそのドクターはかなり信頼できそうで、吐き気止めの注射をお尻に打ったり、体力をつけるためのグルコースの粉を水に溶いて出来るだけたくさん飲むように指示。早朝5時、まだ39℃台の熱が下がらないので再度連絡すると、元日にもかかわらず私のためにわざわざクリニックを開けて診察してくれました。
その後薬も効き始めたのか、37℃台まで熱も下がり奇跡のように回復。食欲も出てきたところにエルメスさんが差し出してくれたのが、よく熟した美味しいマンゴーでした。前日ドクターがバナナは消化に悪いからマンゴーがいいと言っていたのをちゃんと聞いていたのです。私の熱が下がるとエルメスさんもドクターも、ホテルのスタッフさんも皆喜んでくれて、人々のあたたかさを実感。ドクターは早朝の診察料を支払おうとすると「お代は結構です」とひと言。彼は結局チップすら受け取りませんでした。

マリ─点滴12回失敗で大悲鳴

ドゴン族の村で仮面の踊りを見学

ドゴン族の村で仮面の踊りを見学

西アフリカに位置するマリ。国土の3分の1がサハラ砂漠の一部であり、中心にはニジェール川が流れます。そんな秘境の地に私が訪れたのは2006年の年末年始、10歳の時のことです。6泊9日の日程で、ドゴン族の村に訪れてユニークな仮面の踊りを見学したり、世界最大の泥の建造物であるジェンネの泥のモスクへ行ったり…充実した辺境旅を楽しんだのでした。ただ、不測の事態というのはやはり起こるもので…。
この1年前の年末にエチオピアで食中毒になっていたので、「今年はなんとか健康に年を越せたね」と話していた矢先でした。現地最終日の1月2日、私は原因不明の発熱と嘔吐に襲われます。一時は39.0℃まで熱が上がり、慌てて観光の予定は中止。首都バマコでNO.1のクリニックへ行くことに。幸いにも女医さんはロシア人で英語も堪能。診察も的確で、すぐに尿検査や血液検査、点滴もしてもらうことになりました。夜には帰国する予定なので点滴は5時間。半日入院です。

マリを流れるバニ川で1枚!

マリを流れるバニ川で1枚!

しかしこの点滴でトラブル発生!女医さんに代わり現地の看護師さんが点滴を担当してくれたのですが、この人がまあド下手。何回やっても上手く刺すことが出来ず、なんと打ち直すこと12回!!信じられん…。ついには腕じゃ無理だからと、手をグーにした状態で手の甲に針をブスッ!今思い出しても痛い…。そして一番腹が立ったのが、看護師さんが失敗するたびに小さく舌打ちしてくること。こっちが舌打ちしたい気分なんだが…?
今となっては鉄板ネタとして面白おかしく話していますが、当時10歳の私にとっては苦行以外の何物でもなく。ボロボロ泣きながら歯を食いしばって耐えていたのをよく覚えています。
その後は泣き疲れたのと薬の効果で5時間ぐっすり。日本から持ってきていたインスタントのおかゆを食べてちゃんと回復することが出来ました。
さて、無事治ってきたし予定通りパリへのフライトに乗り込もうという時、まさかのボーディングゲートでエラー発生。どうやらオーバーブックしていたようで、エコノミーはもう空いていないからとビジネスクラスに無料でランクアップしてもらえることに!ラッキー!!散々な目に遭った…と思っていましたが、最後の最後に幸運が舞い込んで来たのでした。

マダガスカル─親子揃って病院へ

結局見られなかったモロンダバのバオバブの並木道

結局見られなかったモロンダバのバオバブの並木道

アフリカ大陸の南にポツンと浮かぶ島マダガスカル。「星の王子さま」で有名なバオバブの木や、ベローシファカのような猿など独自の生態系を持つユニークな国です。もしかしたら昔「マダガスカル」というタイトルのアニメ映画をやっていたことがあるので、それで名前を聞いたことがある人も多いかもしれません。
そんな猿の楽園に訪れたのは、マリ旅行のわずか3カ月前。まさかこんなに立て続けにトラブルに見舞われるなんてこの頃は思ってもみませんでした。

バンブーキツネザルに大はしゃぎ

バンブーキツネザルに大はしゃぎ

マダガスカル旅行の醍醐味であるバオバブの並木道の観光を翌日に控えた日、例によって私と母は体調不良に。原因はよくわかりませんが、まるで栄養失調になったように頭がクラクラして、横になっていないと辛いほど気分が悪くなったのを覚えています。その後部屋に戻ると下痢と発熱が。母もずっと胃をこわしていて、親子揃って首都アンタナナリボの病院で診てもらうことになりました。
病院と言っても実際にはクリニックのように小さいところで、母は胃の痛みを和らげる注射と薬、私はマラリアのような熱病の可能性があると言われ検査を受けさせられました。幸いにも検査は陰性で、ホテルに戻ると徐々に回復してきたのですが、母の調子だけが戻らなかったのでそのまま全員、旅の途中で急遽帰国することに。
1番楽しみにしていたバオバブの並木道を見られなかったのは残念でしたが、いつかリベンジしたい場所の一つです。

まとめ

マリで出会った笑顔が素敵なお姉さん

マリで出会った笑顔が素敵なお姉さん

当時はまだ幼く自分が今どういう状況に置かれているのか、また周りが自分のために何をしてくれているのか、分からないことだらけでした。そのため私の中でこの3ヵ国は苦い思い出のある国として記憶されています。
しかしその裏では必死にお医者さんを連れてきてくれたガイドさんがいたり、親身になってくれた現地の人がいたのです。つらい経験ではありましたが、こんな風に人々のあたたかさを感じられたのもアフリカだからこそかもしれません。良い思い出を作りに、いつかまたこの3国を訪れられたらなと思います。

 

ペンギン案内人5号/川崎 彩乃

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